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KTS 代表取締役 堀尾憲市氏
〒509-7205
岐阜県恵那市長島町中野1269-501
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堀尾憲市氏略歴
昭和22年、岩村生まれ。リコー時計就職を始めとして、いろんな業界を渡り歩き、現在は一級建築士の義兄と間伐材工法を開発、展開している。 |
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百年を越える超耐久総木曽ヒノキ間伐材住宅にビックリ
「今の国産材は、ほとんどが間伐材ですよ」と堀尾さんは話し始めた。私が訪ねたのは、施工中の恵那の現場。隣にある人工林を指差して、「この中にも三寸の構造材を選んで切り出すことは可能です」。
考えてみれば、戦後の植林政策で植えられた人工林は50才ぐらいの樹齢になるものもある。気温や標高による地域差はあっても、スギなら立派な建材として出回っているし、生育の遅いヒノキにしても、用途や地域では伐採されている。ここ十数年の国産材暴落で、人工林の手入れがなされない状況にあるから、確かに流通している国産材は間伐材と言える。とかく間伐材の品質や強度を問題にする人がいますが、論点が違うようです。東海農政局の丹羽さんが言っていたように、「流域材」というような、名称変更が必要でしょう。住宅建築材として使えないものを「間伐材」と言うような、定義付けが必要に思う。
一般和風住宅の数十棟分に当たる惜しげない材木消費量
現場を見て驚いたことに、総木曽ヒノキ。柱、梁、床は三寸五分で、外壁、間仕切りは三寸のヒノキ材が使われている。壁面はこれらの角材を10本単位で穴を貫通させてボルトで締めてある。一体どれほどの材木が使ってあるか、興味津々で聞いてみた。「一般和風住宅の数十倍は使っていますよ」とにこにこ笑いながら話してくれる。そこへ車が一台。降りてきた人を紹介してくれた。「南木曾の勝野木材の社長さんです」。この住宅の構造材を請け負っていて、彼の話では、木曽ヒノキは現在南木曾が中心で、標高800mを越える北の地域では生育が遅れているのでまだまだ使えないとのこと。木材は他に恵那小径木加工協同組合から入れているとのこと。地産地消に徹する姿勢は、正しく間伐材使用を奨励している林野庁の「木づかい運動」に大貢献している。
この建築工法は、誰にも文句のつけようがない頑固なまでの堅牢さで、見ただけで100年を越える耐久性に太鼓判を押せる。しかし、確認申請に手間取ったそうだ。前例がないために強度データの提出を求められた。彼は名工大の井戸田教授に破壊試験を依頼したが、三寸の構造材パネルはビクともせず、留め金のボルトが先に破壊する始末。結局は角材を半分に切って、やっとデータが提出できたとのこと。
私が常々思うことに、工業ゴミに占める建築廃材は極めて大きい。この耐久年数が大幅に延ばせることと、土に還る特質を考えれば、この間伐材工法は「環境優良技術&商品」といえる。しかも、現代病であるアトピーやシックハウスは、同一の気候風土に育つ素材に囲まれれば、回避できるのではないか。自然と共に暮らす生活が、健康な人生を送る基本のように思える。 取材/長山 伸作
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