大雪に見舞われた20日は、予定の鈴鹿行きをあきらめて自宅でごろごろ。所用を済ませて帰宅後にインターネットを接続して富士吉田のライブカメラを見てみた。まだ笠雲が残ってはいるが天気は快方に向かっている。さっそく東急の山中湖マウントホテルに電話して、キャンセル空きを確認したらOKとのこと。暮れかかった名古屋を後にした。
珍しく目覚まし時計のアラームで起こされた。朝4時。窓外は真っ暗だが、星は満開の天空に、かすかに富士のシルエットが認められる。
しめしめ、来た甲斐があるというもの。
139号を本栖湖で右折して、300号線に入ると直ぐにトンネルがある。その手前右に登山口はあるが駐車場がない。トンネルをくぐった右側に5台ほど停められる空き地があるので、そこへ駐車して歩き始めたのが五時半を回っていた。まだ真っ暗で、ヘッドライトの明かりに慣れるまでは慎重にルートを探りながら歩を進める。本栖湖の東海自然歩道が右へ延びている。私たちは左のパノラマ台方面に向かう。落ち葉がルートを見えにくくしているが、登山道はしっかり確認しやすい。雑木林の斜面をジグザグに登っていく。名古屋の雪が嘘のように、ここには積雪の痕跡もない。ライトに照らされるツヅラ折れの登り道は、遠近感がないので時々バランスを崩す。妻のペースに合わせてゆっくり登っていく。30分も登ると、葉を落とした林の梢越しに富士山のシルエットが見え始めた。雲ひとつない。その上空に下弦の月が輝いている。冬用の完全装備にくるまれた身体が汗ばんでくる。前のファスナーを開放して冷気を入れながら、更にジグザグを繰り返し、烏帽子岳山頂に立ったのが6時半前。
山頂にはNHKの中継アンテナが設置されている。富士山を含む東南方面の視界が広がっていて、丹沢から富士に伸びる稜線が徐々に茜に色づき始めている。さすがに寒い。北風を避けて南側斜面にうずくまり、熱いお茶とチョコレートで日の出を待つことにする。レンズの異変に気が着いた。内側が結露している。拭き取ることもできないので、外気にさらして日の出までに消えることを祈った。梢越しの西方、南アルプスがモルゲンロートに輝き始めた。北岳から荒川三山まで、白い峰々を見事に照らし出している。目を転じれば富士の三合目あたりが明るくなっている。予想通りの日の出位置だ。レンズの結露も消えている。日の出は一瞬。妻と私のシャッター音だけが、誰もいない山頂で絶え間なく響いた。
パリラマ台から精進湖へ抜けるつもりだったが、天気が良すぎるので、逆光の富士山だけではもったいないと往路を引き返すことにした。上の写真は下山途中で本栖湖越しに見えた南アルプス。左は本栖湖畔から見た烏帽子岳。9時にはホテルにもどり、ゆっくり富士山の見える露天風呂に浸かって疲れを癒した。
帰路は身延から南アルプス街道を山伏峠越えで寸又峡に下りようと、早川まで走り、土地の人に情報を聞いてガッカリ。「積雪で通行止め」。それなら駿河湾越しの富士山を狙おうと清水へ入ったが大渋滞。結局あきらめて、静岡から高速に入って名古屋へ戻ることにした。
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