四人の女性スタッフが
名古屋の景観を変える。
K氏の推薦で訪れた工房には、四人のまぶしい女性が待っていた。二十歳から○○才まで、全員が独身の、笑顔が美しいイキイキとした女たち。取材担当としては滅多にない幸運と言うべきか。カンバスに立てかけられたレリーフ。積み上げてある作品群。この人たちは一体何をやらかそうとしているのか、興味津々のお話である。
古代さんは高校時代に演劇部在籍、音楽への魅力からシンガーソングライターの道を選んだ経歴の持ち主である。今でも毎年一回自主公演をやっている。ナント12年も続けているというから恐れ入る。「継続は金」である。
吉田さんは営業職、脱サラの経緯だが、書道のたしなみがあり、アメリカ、カナダ放浪の旅すがら須永博士ばりの経験を積み、これからの仕事に生かそうとしている。
疋田さんは最も若く、インテリアデザインを専攻した専門学校出の新社会人であり、大きな夢を抱いてここを訪ねている。若さは未知数、感性爆発タイプか。
石田さんは東京芸大で彫刻を専攻し、画廊で勤めた後、個展、グループ展を開いて芸術活動を続けながら教鞭をとっている。これから仕掛けようとする仕事のキーマン的存在を期待したい。この四人が雑誌広告やテレビ報道を見て、この春クレーベンに集結した。純粋地元人による名古屋発の新事業の幕開けである。
クレーベンの社長、中川氏には大きな夢がある。永年左官業を通じて思うこと、建設業界で進めなければならないことは「環境保護」の問題、地球環境を守ることであり、そのために何で貢献できるか、ということである。彼は地球環境に優しい天然素材、日本の民家に昔から使われてきた土壁に着目し、この素材の復権を図るために、壁面にアートを注ぎ込むことを考えたのである。
壁面にポイントアートとして手造りのレリーフを埋め込んだり、建造物の壁面全体を街の景観にマッチさせた土壁アートプランからインテリアデザインへの応用、モニュメントへの展開など、彼女たちの感性が家造りから街造りに広がっていく。まだ、彼女たちにとってみれば雲をつかむような話かも知れないが、アートフルマインドの意気込みは伝わってくる。快活な四人は暗中模索の中で、とりあえずは自分の好きな作品造りに余念がない。ここから何が飛び出すかは分からない。どんな方向性、指向に発展するかも未知数である。でも期待したい。アッと言わせるものの出現を。
何年かかるか分からないが、それぞれの個性を生かした自己研鑽と行動力が、デザイン宣言都市、名古屋の面目躍如となる日を待ってみよう。
「クラフトウーマン土工房」が脚光を浴びる日。楽しみである。
|