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番号 030716 「趣味は?」と、たずねたら即、「習字」と応える。習字が趣味??。私の頭脳が解析不能に陥り困惑の顔色をうかがってか、「何も考えず、無になって書くことが楽しい」と言う。よくよく話を聞いてみると、小学2年の時から始めて今でも習字進行中とのこと。とにかく書くことが好きでたまらないらしい。臨書をしていると「無」の境地になれるのだろう。座禅の心境と同じようにとれる。知らない人がいると困るので解説しますが、臨書とは書き写すこと。仏僧が経本を書き写す、写経と似ている。
さて、今回取材した写真の才媛は内海順子さんといい、前回掲載した伊藤静香さんの紹介である。名古屋生まれの名古屋育ち。学生生活も名古屋なら、社会人としての職場も名古屋。だから結婚してからも名古屋に住んでいる。これほど純粋な混じりっけのない名古屋人も珍しい。学生時代に知り合ったご主人との間に一男一女があり、彼女の実家で父親と一緒に暮らしている。そんなある日、近くの高田幼稚園から先生役のお手伝いをお願いしたいとの依頼があり、週三日の約束で引き受けることにした。幼稚園で接する子供たちの無邪気な姿を見ながら、心動かすものが芽生えていく。人との関わりに、何か大切なものを感じ、生きることへの歓びに似た価値観を見つけたのかも知れない。その後の彼女は、好きな習字で公文の資格を取り、習字の先生になったのである。

寺子屋のペン習字教室
取材場所は村上神社の社務所。ここは桜の名所、山崎川に近い。ここが彼女の仕事場である。平成14年10月の開塾だから、まだ一年も経過していない。毎週水曜日、午後2時から6時までペン習字を教えている。生徒は4〜55才まで、ボーダーレスの世代を越えた20人ほどと習字を通じて接している。静かな境内の社務所は、寺子屋を思い出す。昔は、こんな場所が子供たちの遊び場であり社交場だった。時として親たちの井戸端会議に花が咲いた。郷愁に似た懐かしさを感じながら、内海先生のお話を聞いている。
私論ではあるが、西洋と違い、東洋では「文字は芸術」である。とかく西洋を真似る日本人のコンプレックスとは無縁の神聖な領域に、日本固有の伝統芸術があることに気がついてほしいと思う。
「手で書いた文字は、気持が伝わる」。
確かなことである。パソコンから打ち出されるデジタル文字は無味乾燥であり、手書き文章の心が宿りにくいことは事実である。パソコンの普及と共に、漢字を忘れていくことに不安を感じる。心を大切にする日本の文化は多い。奥の深い日本語の一つひとつの字を書く楽しさを、習字を通じて体得してほしいと、内海先生は締めくくった。押し寄せるITの波に飲み込まれることなく、西洋にない日本の伝統文化を守り続けてほしい。

現在は子育てに忙しい毎日である。女の子はまだ小学一年生。ご主人が好きだった野球を長男が引き継いでいる。クラブチームで頑張る姿を、家族全員で応援している。料理が趣味という先生は、ことさら中華が自慢のようで、酢豚、麻婆豆腐はプロ級とのこと。家庭の団らんが目に浮かぶ。5年後を目標に、習字を通じて指導者のプロを目指す先生の好きな言葉は「感謝」だと言う。まわりの皆さんに支えられて、今の自分があるという。その気持ちで、習字文化を守り、継承していくことを願っています。

掲載日 03/07/17
名前 内海 順子さん
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プロフィール 公文村上町書写教室
ペン・かきかた・筆ペン・毛筆
名古屋市瑞穂区豆田町4-14-14
Tel.052-881-4186
教室所在地
名古屋市瑞穂区村上町2-3-2村上神社
毎週水曜日 PM2〜6時
興味のある人は、授業を参観して下さい。


村上神社