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番号 031027
「仕事がおもろい」
と、取材相手の谷口緑さんは言う。まだ二十歳代の、若さがハチ切れそうな女性から、久しぶりにパンチの効いた言葉の洗礼を受けた。
所々で関西弁が混じる彼女は、温暖な和歌山市の街で育ち、高校卒業後に故郷を離れて愛知県で学生生活を送った。ここ浜木綿との出会いは24才の時で、春日井店のバイトから始まった。きびきびした態度に、彼女の過去をいたずらっぽく予想していたが、図星だった。スポーツ系の部活経験者だろうとの勘が当たった。小学校から高校まで、ずっとソフトボールをやっていたと言う。その後はバスケットを楽しんでいる。そんな活発で男勝りとも言える性格を、浜木綿の経営者は放っておくはずがなく、マネージャーとして守山大森店勤務の辞令が下った。

皆さんもご存知の通り、浜木綿(はまゆう)は名古屋と近郊に店舗展開している中国料理店である。私もよく利用するお店で、山手通本店や新瑞橋店を使っている。ここの料理はくどさがなく、ヘルシーな感覚が家族に受けている。店員の対応も如才なく、料理の出るタイミングのスマートなシステムには驚かされる。

その浜木綿の大森店のマネージャー、店長に、彼女は抜擢されたのである。
「店長として、何をしたの?」の問いに「販管費の適正化に着手しました。」と、いとも簡単に応える。ナヌゥ???である。数いる先輩の中で、最も難解な、人件費も含めた販管費を圧縮する改革を断行したのである。そんな彼女は、従業員たちを信じながらも時には厳しい判断を下さざるを得ない、大変な毎日を送ることになった。辛い日もあったことだろうが、持ち前のねばり強さで克服し、一年四ヶ月を費やして、グループの中でも指折りの経営内容にまで改善された。当然、職場仲間の理解と協力が得られたからである。彼女自身も、しっかりと目標を作って臨んだ結果だろう。このお話は、私にとっても「目からうろこ」である。二十歳代の女性が、よくもここまでやるものである。まだまだ日本も捨てたものではない。

黒子の精神
今までの体験をもとに、これからは出しゃばらず、黒子になって後輩の育成に専念したい。こんな言葉の裏に、彼女の職場への愛着が感じられる。人を育てる歓びを、彼女はすでに体得しているようだ。以前はお客様から、「今日は店長はいないの?」と呼び出されるのがうれしかったが、今はできるだけ一歩下がるよう心掛けている。お客様の「ありがとう」の言葉を励みに、もっともっと多くの人たちに、自慢の浜木綿料理を味わってもらうことを夢見ている。

「仕事がおもろい」。なかなか言える言葉ではない。

掲載日 2003年10月27日
名前 谷口 緑さん Taniguchi Midori
URLリンク 浜木綿 http://www.hamayuu.co.jp/
プロフィール 中国料理・浜木綿(はまゆう)
守山大森店マネージャー
名古屋市守山区大森4-117
Tel.052-799-0003


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