インターネットビジネスで頑張る知人を紹介します。異業種交流では顔馴染みの間柄だが、じっくり話し込んだことがなかったので、会社を訪ねてみた。
(株)日新はギフト品の卸売が本業であり、記念贈答品、販促品から家庭用品まで幅広い商材を扱っている。お話相手の田島さんは、学生時代から家業を手伝っていた。と言うのも当時、社長である父親が病に倒れていたので、大学4年の時には異業種交流の会合に顔を突っ込み、学生起業家よろしく、経営者仲間から経営学を学び取っていた。
インターネットとの出会い
ギフトカタログを作ってはみたが、さばけない。思いついた手がホームページである。10年前というと、インターネットも初期の普及段階である。右も左も分からないまま業者に依頼して作らせたのが「カタログ無料配布の告知」。ホームページにギフトカタログを紹介して、希望者が申込フォームに氏名、送り先等を書き込んで送信ボタンを押せば、メールが届く。その宛先にギフトカタログを無料で配送する。はたして山積みのカタログは?
それほどの期待はしていなかったのにメールの手応えは充分あり、カタログ送付者の約2割から注文のファクスが届くようになった。これがインターネットビジネスの始まりであり、ここからどっぷり「ネット漬け時代」に突入する。
「ご注文のコンペ景品をゴルフ場までお届けします」
平日の真っ昼間にディスカウントショップを覗いてみた。ネクタイ族がせっせと商品を数えてはカゴに入れている。こんな光景を他の店でも見てヒントになった。コンペ幹事のお手伝いをしよう! コンペ規模と予算に合わせた賞品メニューを提案し、その大きな荷物を開催ゴルフ場へ届けてあげれば、幹事さんは手間いらずできっと喜ぶ。思い立ったら即行動。それほどITに強い訳でもない彼が、パソコン漬けになっていく。
平成9年1月、「ゴルフコンペ景品専門サイト」ネットショップの開店に漕ぎ着けた。卸売りとは別に、インターネットを利用した小売、直販部門チャンネルの展開が始まったのである。当然のことながら店長は田島さんであり、ホームページの運営からマーチャンダイザー、販促企画担当、店員役、メール対応まで一人?役をこなさねばならない。試行錯誤の一年は、アッと言う間に明け暮れた。初年度売上250万円。苦労の対価としては余りにも少額ではあるが、初めてのお客さん、王子製紙東京から舞い込んだ注文メールは記憶に新しく刻み込まれているそうだ。
今期売上目標は1億円に 社員にしてみれば「社長の道楽」と観る者もいたと推察できる。実を言って、私もその部類に属していると思われるからだ。忍耐と努力の月日は流れ、ここ二三年でハッキリと成果が現れた。倍々ゲームの売上は、昨年度5千万円を超えた。卸売りを含めた年商からすれば比率は低いが、粗利率は高いので、貢献度は充分と言える。今期目標は1億円を目指し、中期ビジョンでは3億円が唱われている。その伏線として昨年末にYahoo店をオープンさせた。本店、楽天店と合わせて3店舗体制を敷き、本店は従来通りゴルフコンペ景品専門に徹し、他の2店舗は同一ターゲット上で企業催事向けの商品を提案していく。名入れや案内の印刷まで含めたきめ細かい対応を考えている。経営指針策定の勉強会で、田島さんとはちょくちょくお話をしているが、彼のビジョンが具現することを私は確信している。
最後に、彼が言うネット通販のポイントを掲げておきます。
1.運営または指揮系統は経営者直轄とする。
10人以下の会社は、社長が直接メール対応する。
売れているサイトの共通点は、経営者自らパソコンに向かっている。
2.気の短い人はやめましょう。
反応がでるまでに最低半年はかかります。
3.HP業者への丸投げは禁物です。
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