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番号 050205 愛知県内に20店舗を展開する中国レストラン経営。

20店舗800名(正社員160名)の従業員を抱え、今春も20名の新入社員を迎え入れる中国料理「浜木綿」の知名度は高い。年間売上34億円の経営戦略を指揮する人は、私と同じ愛知中小企業家同友会で、ほぼ同時期の会歴を持つ、林永芳さんである。私が尊敬する経営者のひとりで、社員教育の現場見たさに訪ねてみた。

学生パートさんにまで徹底した
顧客サービスの教育。


浜木綿の料理は、中国料理としてはくどくなく
上品な和風にアレンジされているようで、私の家族もファンである。以前、家族で新瑞店を訪ねたときに、私の粗相で肘が徳利に当たり、見事に床にはじけ散った。すっ飛んできた若い女性店員が「お客様、大丈夫でしたか?」と、私を真っ先に心配してくれた。「大丈夫ですよ」と答えると、手際よくテーブルと床をきれいに拭き取り、改めてお酒を持ってきてくれた。
レジで精算するときに、出し直してくれたお酒は載っていない。訊ねてみたらサービスとのこと。彼女はパートの学生さんだった。お客様満足の教育が徹底されているようだ。

全従業員対象で、三ヶ月に一回の一日または一泊研修

企業の活力は人材にある。バブル崩壊後の経営の力点は、どの企業も人材に腐心した。大手はリストラの大ナタを振るう時期もあった。浜木綿は地道な努力を重ねつつ、教育制度を充実していった。今ではパートさんまで、三ヶ月に一回のマネージメントから接客マナーに至る一日研修プログラムが用意されている。「チームワーク作り」では、挨拶、コミュニケーション、理解、協調といった行動のキーワードより、目的意識の統一を重視している。目的は顧客の創造、顧客満足度を高めることであり、お客様に豊かな食事時間を過ごしていただくことを考えれば、おのずと選択する行動は一致してチームワークが良くなるという。中間管理者クラスになると、エクシブ研修と称した一泊研修制度がある。20人単位のエクシブ泊まり込みロングラン研修は、中身の濃いものになる。今年からは予算研修が始まる。経営会議メンバー10名と取締役3名で連続4日間の会議。各部門の予算と事業計画を策定させ、それを分析し、責任の所在を明確にする。経営計画に沿った目標管理が教育制度にも徹底され、PDCAの循環が脈打っていることが理解できる。ここには、企業は人なりを読み取ることができる。

真空地帯への足固めとレシピ開発

2年前の飲酒運転罰則強化による外食産業への影響は大きかった。浜木綿も例外ではなく、売上が伸び悩んだ。飲酒派の客数が減れば当然のことなので、人時生産性をアップするための人事システムを新たに投入し、時間管理の徹底が図られた。仕入材料やメニューにも手が加えられた。調理場に数字とコンピューターが侵入して500を越えるレシピの原価管理が完成し、今では1%の誤差で運用されている。日毎に強化される企業体質には驚かされる。
林さんは確固たる将来を見据えている。「外食上場84社の中で、私の考える中華料理マーケットにライバルはいない」。いわゆる真空地帯に、浜木綿の発展を具現させる計画が着々と進んでいるようだ。
2月からフカヒレの限定メニューが登場する。昨年10月に気仙沼で買い付けたものがテーブルにお目見えする。原価6千円の商材が8千円で食べられる。500枚限定なので私も早めに予約しなければ・・・。
この春から新たに「素菜料理」が投入される。精進料理の台湾版で、開発や調理担当が何回も台湾へ足を運んでいる。スープの出汁にまで魚肉類は使用しない。ヘルシー志向のマーケット層を取り込む戦略である。平和な国とか成熟した地域においては、「健康と長生き」がターゲットになるようだ。ニッポンは、まさしく平和な国である。


掲載日 2005年02月06日
名前 林 永芳さん
URLリンク http://www.hamayuu.co.jp/
プロフィール
■会社名
株式会社 浜木綿(はまゆう)
■代表者
代表取締役社長 林 永芳
■所在地
本社 〒466-0815
名古屋市昭和区山手通3-13-1
Tel.052-832-0005
Fax.052-832-3206
■事業内容
中国料理レストラン経営
■資本金
2億8416万円
■売上高
32億1361万円
(平成16年7月期決算)