山歩きガイド
デジカメ山野草トレッキング
硫黄岳
ほんとうに久しぶりの再会だった。
八ヶ岳の稜線に立ち、峰々を眺めるのは三十数年ぶりのこと。
冬の阿弥陀岳が最後だった。
懐かしさと共に山仲間が思い出される。
2002年8月11日
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山名 八ヶ岳・硫黄岳
標高 2742m
所在地 長野県
登山日 2002年8月11日
天気 晴れ
メンバー 4名
コースタイム
05:40 桜平
06:10 夏沢鉱泉
07:10 オーレン小屋
08:00 夏沢峠
09:10 硫黄岳山頂/9:50
10:20 赤沢の頭
13:00 オーレン経由桜平
早朝であるというのに、桜平の駐車場はほぼ満杯の状況である。おそらく車の主たちは、どこかの山小屋に泊まっているのだろう。いちばん奥の駐車場に空きスペースを見つけて車を入れる。夏沢鉱泉への道は鉄パイプのゲートで遮断され、一般車の乗り入れを禁止している。その左を通って沢まで下ると右岸からシラナギ沢が流れ込み、それを渡って深い夏沢の谷筋を登ることになる。幾重にも連なる滝の音が谷にこだまし、うるさいぐらいだ。まだ薄暗い道端に可憐なキバナノヤマオダマキがひとつ、ふたつ咲いている。まずはカメラを封印して、先を急ぐこととする。夏沢鉱泉を過ぎると林道は山道に代わり、深い森の中に入って行く。シラビソの明るい樹林越しに、朝日を浴びた峰の松目の稜線がうかがえる。今日も天気がいいが、大気は不安定とのこと。早い時間に頂きに立ち、眺望を楽しみたいものである。オーレン小屋で休憩をとり、朝食のサンドイッチを食べる。同行の3人はいずれも初めての八ヶ岳。さて、この先がどうなることか。ここからの登りは夏沢峠ルートを選び、下山に峰の松目ルートを採ることにする。あれほど豊かな水の音が消えると、右上に大きな硫黄岳の山稜が望まれるようになり、疲れることもなく、突然夏沢峠に出た。東側の展望が開けている。はっきり同定することはできないが、秩父、妙義山塊の山並みが霞をはったように墨絵の世界を形成している。稜線を右に折れると、今日一番のきつい登りとなる。樹林帯を抜けると、一変して風が強く、体感温度も下がっていく。ゴロゴロした岩稜をジグザグに登る。足元はしっかりしているが、突風によろけることしばしば。トップのペースが落ちる。立ち休みを促して息を整える。振り返れば天狗岳が箕冠山の樹林の上からふたつの頭を出している。天狗岳の左にはいつもの蓼科山がデンと鎮座し、右へ目を移せば噴煙の浅間山が佐久の彼方に優美な姿。しばしの景観を楽しんだ後、ふたたび登りにかかる。道が左に寄ると、切れ落ちた硫黄岳噴火口の岸壁が見えるようになり、その縁を歩く。頂のケルンがだんだん大きく見えるようになる。「あとヒトコギ」と声をかける。だだっ広い山頂には、幾組のパーティが風を避けながら休憩をとっていた。山頂で記念写真を撮った後、南側山小屋よりの風の緩衝場所を見つけて休憩とする。南には八ヶ岳の主峰群が居並び、見上げれば風に流れる雲の造形が実に美しい。仰向けになって、流れる雲に見とれる。
硫黄岳山荘まで足を延ばしたかったが、西から沸き上がる雲にせかされて、早めの下山を決めた。広い硫黄山頂の南側を西に進むと、赤岳鉱泉、峰の松目方面の道標があった。ハイマツまじりの岩場を一気に高度を下げていく。気持ちのいい稜線にハクサンイチゲが咲いている。赤岳、阿弥陀岳に囲まれるように、赤岳鉱泉の小屋とテントが緑の中に光っている。ここを下りきると赤沢の頭。ここから右に下ればオーレン小屋に戻れる。


左 硫黄岳に流れる雲
右 八ヶ岳主峰群
左から横岳、赤岳、阿弥陀岳。その間後方が権現岳。阿弥陀のはるか後方に甲斐駒ヶ岳と南アルプスが望まれる。

赤沢の頭への下山路
峰の松目を覆いかけたガス
山麓の茅野の街がうかがえる。
流れる雲の造形
硫黄岳周辺の花
ウメバチソウ ウメバチソウ ホソバトリカブト
赤沢の頭から右に折れて下ると、すぐに樹林帯に入り視界もない。このルートは下山専用にするほうがいい。登りは目を慰めてくれるものもなく、辛いようだ。オーレン小屋が近くなると、シラビソの美林の中を歩くようになり、程なく夏沢を渡って小屋に着いた。ここで生ビールをグイと飲み、撮影モードに切り替えてヤマオダマキを捜しつつ駐車場へ向かった。
キバナノヤマオダマキ
まことに清楚な森の妖精である。
この谷で会えるとは。興奮しながらのシャッター。
キバナノヤマオダマキ
オオイタドリ シシウド ホソバトリカブト ホソバトリカブト
コガネイチゴ

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