この辺りの紅葉は早く、ナナカマド、ウラジロは真紅から褐色に変わりつつあり、秋のエピローグが近づいているようだ。
Uさんを5時過ぎに載せ、Kさんを一宮で拾ってから東海北陸自動車道に入った。途中でSさんの車と合流して白山スーパー林道入口、馬狩のゲートに着いたのが、開門時間8時の10分ほど前だった。無料の駐車場は20台以上停められそうである。ほどなくゲートが開き、林道に乗り入れる。
ときどき薄日が射し込むが、今日の天気は下り坂なので気だけが焦る。蓮如茶屋駐車場にSさんの車をデポして、私の車に定員オーバーの6名が乗車。今回のメンバーにヘビー級は不在なので、急勾配も快適に飛ばせる。突然、前方に三方岩岳の岩峰が目に入る。この眺めを写真に収め、予定時間通り三方岩岳駐車場に到着。
山肌は錦秋に燃え、まぶしく映えるその中を歩く。実に気分がいい。なだらかな道は疲れることもなく、高度を上げていく。木立は低く、林間を歩く雰囲気とは違い、展望が楽しめるコースである。曇り空を恨めしく思いながら進むと、見たこともないダケカンバの巨木が大手を広げて突っ立っている。
ワイフと私はしんがりをゆっくり歩く。勿体ないと言う訳ではなく、ワイフのペースで歩いていると、ついついトップのSさんとは離されてしまう。その間に撮影モードのUさん、Kさんが歩いている。山頂まで1時間とかからない。右方が開けて霞んだ山並みの彼方に白山連峰が見渡せる。ハイマツの中から顔を出しているドウダンツツジを選んで、その後に立ち、カメラを構えた。
そこから平坦な展望のいい稜線を歩けば、すぐにベンチが設置された三方岩岳の標識が立つテッペンである。
さすがに稜線は風が強く冷たい。防寒具を羽織り熱いコーヒーで暖をとる。山頂での記念撮影を終え、先を急ぐことにする。南へ下ると白川側は切れ落ち、谷合の紅葉が見事である。広葉樹の黄色や真紅と針葉樹の深緑色が絶妙に入り混じり、その中を白山スーパー林道が蛇行している。谷底に吸い込まれそうな、息を飲み込む絶景であるが、絵にしづらい。晴れていればと悔しがる。
野谷荘司山にかけての稜線は小さなアップダウンを繰り返すが、シラビソ、ブナ、カンバ、色とりどりの秋色、愁色の雑木林に包まれながら、静かな山歩きができる。ウルシの赤は鮮烈だ。ナナカマドの葉は穴明きが多い。ガマズミの朱い実にツルリンドウの深紅の実。葉裏にくっついている5ミリほどのリンゴ色の果実は何だろう。岐阜県側はガレて切れ落ちている箇所があるので、よそ見していると危険である。
野谷荘司山は十数人のにぎやかな先客に占拠されていた。大きく車座を作れるスペースはない。私たちは山頂をやり過ごし、風を避けられる道沿いに昼食の店開きをすることにした。いつもコンビニで用を足している昼食材料を取り出していたら、Kさんから梅のブランデー漬け、3年モノを頂いた。これはイケる。我が家でも作ってみよう。
帰路はピストン。三方岩岳まで戻り、そこから蓮如茶屋の白川郷展望台まで下るはずだったが、分岐を見過ごしてしまい、結局はパーフェクトピストンになってしまった。
またまた違法6人乗車で蓮如茶屋駐車場まで下り、展望台横のブナ林のたもとに陣取ってティーブレイク。Uさん持参のクッキーとコーヒーで締めくくった。
未練たらしい私は非常用ウイスキーを注ぎ、アイリッシュの香りで「ベルクハイル」。
左写真は三方岩岳から駐車場への下り。
後方は瓢箪山、仙人窟岳、笈ヶ岳と続く。
クリックで拡大表示。
|