左は北横岳山頂での記念写真。右は坪庭から見た横岳稜線。
ツヅラ折れの樹林帯はきつくもなく、たんたんと続く。黒いタンネの森もすっぽりと雪をかぶり、明るくなった空を見上げると、カラマツの霧氷がまぶしい。振り返れば、大きな八ヶ岳連峰から右に南アルプス、中央アルプス、御岳、北アルプスへと白いたおやかな峰々のスカイラインが続く。先行パーティのラッセルでトレースがついているが、トップを行くスノーシューの水谷さんは流石に馬力がある。
三ツ岳分岐に出ると、横岳ヒュッテは近い。待てよ。三ツ岳方面へのトレースがない。帰路は昼食時に相談しよう。 程なくヒュッテに着いた。静かな森に囲まれた山小屋の雰囲気が好きだ。高見石も似たような雰囲気だが、人が多すぎる。過去に山小屋を利用したことは数回しかない。最後に泊まった小屋は夏の北穂山荘だった。20数年も前のことであるが、寝返りができなかった。 この小屋に泊まるとしたら、北アルプスの日没とアーベントロートに輝く八ヶ岳を見たい。早朝の七ツ池もいいだろう。
ふたたび登りにかかるが、このルート中、最も勾配のきつい個所である。樹林帯が低く、回りが明るくなるに連れて風が強くなる。白状すると、実はザックを自宅に忘れてきた。ビールや、酒、ワインの積み込みはぬかりなかったのだが、最後のチェックがおろそかになっていたようだ。赤堀さんの予備スパッツを借りられたのが、せめてもの救い。慌てて山麓駅で食料を調達したが、バームクーヘンとチョコレートだけ。非常食のチーズとポケットブランディがあれば、今日は何とかなるだろう。
この一体は強風で名高い。夏でも凍えるような体感温度になることがある。いつもからすれば、今日はラクなほうである。道がなだらかになると展望が開け、横岳南峰に着いた。さすがに超一級の眺めである。昨日の新雪が、雪山の美をさらに美しく演出している。今日、この山頂に立てる人はみんな幸せ者である。しばしの撮影モードの後、ヒトコギして北峰に立った。目の前の蓼科山は威風堂々。その背後に北アルプスの山並みが雲上に輝いている。 仲間の顔もみんな輝いている。目が合うと、あどけないぐらいの笑顔が返ってくる。山はいい。山仲間はさらにいい。忘れていた山に、またはまり込んで行きそうな自分。心境は複雑怪奇。
山頂の風を避けて、展望がきく東斜面の樹林帯に昼食の場を設けた。毎度のことながら、内田さんからおにぎりを頂き、涙、涙。やっぱり山仲間はいい。実感しながら、牛の如く反芻して飯の食感を味わう。ブランディで暖をとっていたら、もぐさんから珍しいカクテル、焼酎のココア割を頂いた。これもまたイケル。 左上の写真は仲むつまじい石原夫妻、赤堀夫妻。右は山頂近くのMartyさん達。 帰路は時間的に三ツ岳は不可能なので、往路を引き返すことにした。坪庭を周遊するメンバーもいたが、三々五々山頂駅に集結した。私は山に参加しなかった妻、石田さんとスキーに履き替え、一気に下山した。明日も天気がよさそうである。
●仲間の記録 石原さんの蓼科山 水谷さんの御泉水 赤堀さんの横岳 車山 かいさんの霧ヶ峰 横岳 内田さんの横岳・御泉水 かもちゃんの横岳 みーとさんの横岳 白樺高原 だめちゃんの横岳
みーとさんが二回目のスキーとのこと。とりあえずは普通の斜面を滑って下れるよう、転び方、ボーゲン、斜滑降、キックターン、シュテムのきっかけ、重心の置きどころなどを個人レッスン。優雅に滑るコツを手ほどきしました。さすがに身体を鍛えているだけあり、半日で、基本をマスター。ゴンドラから中級斜面を転倒することなく、滑ることができるようになりました。 今日のゲレンデコンディションは抜群。いつもこのようにはいかないと思いますが。 蓼科の休日へ戻る