春先にも訪れた夕立山を、再び訪ねてみた。小ヶ沢池周辺のショウジョウバカマの葉が群生していたので、花の季節を狙ってみた。野井の林道に車を入れ、東海自然歩道が合流している路側に車を停めた。ヒノキの植林と自然林が混在する山道は、通称大名街道といわれ、江戸時代には岩村藩主が参勤交代で中山道へ出るために使われたルートである。
歩き始めると、薄暗い林下にショウジョウバカマがピンクの花色を点描し、朝の静かさに春のシンフォニーを奏でているようだ。小鳥たちのさえずりも心地いい。樹間を縫って差し込む朝日に照らされる花たちが印象的である。小ヶ沢池の左を歩く。静まり返った緑の水面に春色が映えている。このルートは交通の便が悪いのか、訪れる人が少ない。私たち以外に人影はなく、ウグイスの美しい声音が響き渡る。ヒノキの間に1〜2mの直立するコシアブラが多い。この地方では珍重される山菜で、天ぷらにして食すると美味だが、まだ芽がでたばかりで2週間後が楽しみである。
一時間も歩くと、殿様が休息の場所にしたと言われる見晴らし茶屋の休憩所にたどり着く。道は平坦になり、岐阜県畜産研究所の左を巻くように歩く。日当たりのいい草地にワラビが背を競っている。瞬く間に用意したナイロン袋がイッパイになる。河原さんはご満悦の様子。スミレ、タネツケバナ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ハコベなどが道端を埋め尽くしている。目的のシュンランはまだ早いか。姿もない。畜産研究所の入口に続く舗装路を横切って5分、鉄塔下の夕立山頂に着いた。春霞のうららかな青空に、中央アルプスと恵那山が浮かんでいる。ポットに入れてきた熱いコーヒーを飲みながら、会話のひとときが流れた。
下山後、中部大学恵那キャンパスに寄り、管理人さんから花情報を得る。ハルリンドウが最盛期であり、至るところに群落を形成している。カタクリ谷を訪れたが、ポカポカ陽気で花弁が反り返り過ぎて絵にならない。シデコブシも散りかけている。ソメイヨシノは満開、ツツジは七分咲きか。
串原で見かけたシバザクラ、シュンラン、フキをここに掲載しておきます。
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