展望台からは最後の登りになる。ジョギングスタイルで駆け上がってくる二人に声を掛ける。
「お元気ですね」
「ええ、大草から走ってきました」
大草からは10kmあるという。1時間で上がってきたという。私たちは麓の神社から約2kmに1時間を費やしている。
恐れ入りました。
山頂には小さいながら銅葺きの立派な社が建てられていた。まだ早いが、今日の行程の半分をこなしたので、ここでゆっくり食事タイムをとることにした。樹間からクッキリ、御岳が望まれる。左奥には乗鞍岳もうかがえる。そのもっと左に目を移せば、美濃と白山も白い山並みを見せている。
抜けるような紺碧の青ではないが、おだやかな春の空色に山頂が包まれている。今日も得をした気分である。
山頂右手から入鹿池方面に下る。雨に濡れた道は滑りやすい。古い石仏が点在するシダに覆われた山腹を一気に下っていく。途中で道が倒木に遮られているので、右手の踏み跡をたどることにする。本宮山を巻きながら、なだらかに登り返している。道標はないが、いずれにしても入鹿池から信貴山にかけての道に合流できるだろう。
途中、崩落個所が二つあり、ガレ漕ぎ、ヤブ漕ぎも味わいながら、見覚えのある尾根道に出た。展望台の近くに出ることができた。
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