三台の車が豊川ICに集まった。とりあえずは葦毛湿原の駐車場へ。ここへ二台を停め、石田さんの四駆に全員乗り込んで多米峠トンネル手前の空き地に車を入れた。登山道は豊橋自然歩道として整備され、湖西連峰の多米峠へ延びている。今日はこのルートを南下して、神石山から座談山経由で葦毛湿原に下りる予定である。
予想通り、朝から暖かい。やっと春が来た、という感じで風もなく穏やかである。シダ類の多い、常緑樹の林間を一汗かくと、多米峠に出る。東方が開け、ベンチの向こうに浜名湖が望まれる。ポカポカ陽気に春霞。富士山は白く霞んだ彼方に隠れている。ここからは緩やかな尾根筋のアップダウンを繰り返す。愛知と静岡の県境に横たわる標高300mほどの湖西連峰は、左に浜名湖、右に三河湾を見ながら、南の太平洋まで続く。地元では人気の山なのだろう。ハイカーが多く、家族連れも元気な掛け声で通り過ぎる。
雨宿りの大きな岩塊の上に出ると、湖西連峰が一望でき、これからたどる神石山から葦毛湿原、豊橋の街並みが開けている。ここから更にアップダウンを繰り返し、歩き始めて一時間半、神石山に着いた。山頂一帯は広く、東方だけが開けている。正月に訪れたときは、日当たりにスミレが数輪咲いていた。捜してみると、同じ場所にやっぱり咲いている。細長い葉のカタチからマキノスミレか? スミレの種類は多いので、同定が難しい。ここでゆっくり昼食をとることにした。
ゆっくり一時間、飲み、食べ、語らった後、湖西連峰の主稜線から離れて普門寺峠に向かい、更に登り返して座談山へ。パーティは尾根筋をたどったが、私は右の巻き道から回り込んで登り返してみた。山頂一帯にはカタクリが多い。まだ咲く時期には早過ぎたが、半月もすれば見事に咲くことだろう。後で聞いたことだが、ここにはキスミレも咲くという。麓の葦毛湿原にはハルリンドウが咲いていた。ショウジョウバカマも今が時期で、あちこちの木陰に顔を覗かせている。
湿原を小一時間散策後、入口の喫茶店でコーヒーを飲み、店主と花のおしゃべりに時間をつぶした後、多米峠の車を回収して解散した。やっと、春の花々を愛でる季節の到来である。
|