水源山石雲禅寺
弁財天
七福神の一人で知恵、福徳、延寿、除災、財宝を賦与する七福即生、七難即滅の守護尊天として信心されてきた。当山は永禄元年(1558年)霊光和尚により開基。境内地至るところより清水が湧きいでるを見て、水源山石雲寺と命名し、男根石に水神様の祠を建て祈念した。現在では、大正13年に再建された弁天堂に、写真の弁財天が祀られている。クリック拡大表示
2005年1月25日(火)
◆石雲寺
〒441-1603
愛知県南設楽郡鳳来町名号字袋林12-1
Tel.05363-3-0125
住職/伊藤 隆法
◆交通 地図→「マピオン」
東名高速・豊川ICから車で40分。新城、飯田方面へ。国道151号で湯谷温泉を過ぎたら10分。JRを利用する場合は、豊橋から飯田線、三河川合駅下車。
◆付近の観光
湯谷温泉、うめの湯、鳳来寺山、宇連ダム、乳岩峡、阿寺の七滝、佐久間ダム、天竜峡
◆愛・地球博 市民放送局
「森と自然を守る人たち」取材チーム
中部大学応用生物学部・南基泰助教授
中部大学人文学部2年・吉安早苗
撮影&ホームページ制作/長山 伸作
|
住職は作業着姿でロウバイの木の下にいた。
「待っていましたよ」、と笑顔で近づいてきた。私の石雲寺詣では今年で三年連続。やっと顔を憶えてくれたようである。
今回は、「森と自然を守る人たち」をテーマにした取材のトップバッターとして、住職の出番を電話で依頼しておいた。
お寺の右側には小さな沢が入り込んでいる。そこから山の斜面にかけて、裏庭一帯にセツブンソウが群落する。今日はまだ咲き誇るまでには至ってないが、日陰に頭を垂れて数十輪の可憐な花が、白くはにかんだ姿で出迎えてくれた。冬に凍える里山で、枯色が支配する野に、春を告げる一番花がセツブンソウである。「丁度、節分に合わせたように、裏庭全体が白くなります。」と、住職が言うように、梅林の下にもちらほら白い蕾が顔を出している。繊細な、デリケートな花は、育つ土壌に敏感なようだ。鳳来町一帯の石灰岩地を好み、湿潤でしかも水ハケがよく、落葉広葉樹林の木陰を好むが、ある程度の日照も条件のようである。
裏山の草刈り場を遊び所にしていた幼い頃は、この花が山一面に咲いていた。ところが国の植林政策で杉を植えるようになって、山から花は消えた。それでも沢沿いに少しの居場所は残っていた。住職はこの花の名前を知らなかった。母親は「狐の花」と言って、摘むことを許さなかった。年を経て今から30年ほど前のこと。山草会の山本さんが村を訪れ、沢沿いを歩いてこの花を見つけた。セツブンソウ【節分草】。住職は花の名前を知り、貴重な花であることを知った。春一番のお目出度い花を、茶会に使うからと町から訪ねてくる人に持たせたこともあった。種子を欲しいという人に分け与えていたが、商売をしていたことに気付いたことも。
口コミで噂が広がり、訪問者が年々増えるに従って咲く花が少なくなってきた。デリケートな花を土足で知らず知らず踏みにじっている現状に気付き、この花を保護してやらなければと、柵で囲い、散策路で誘導するようにした。それからは年を追うごとに増え続けている。今では村起こしにも一役買っている。二月、一ヶ月は節分草祭りが催され、村人が協力して駐車場前にテントを設営し、特産物の販売や甘酒、お茶を振る舞っている。近くに温泉ができたので、ますます賑やかになりそうだ。(うめの湯)
セツブンソウは1年目に芽が出て楕円の一枚葉を付ける。2年目は切れ込んだ対生の葉を付け、3年目に花を咲かせる。それから二三年は花を咲かせるそうだ。裏庭全体に花を咲かせることが住職の夢だが、節分草は林床の好みに気難しいようで、解決には至っていない。同行の南先生がお手伝いすることにして、咲く場所、咲かない場所の土を持ち帰って調べることにした。早咲きのウメの香りに送られて、石雲寺を後にした。
|