山名 |
硫黄岳 いおうだけ |
標高 |
2742m |
所在地 |
長野県 八ヶ岳 |
登山日 |
2005年6月5日 |
天気 |
晴れときどき曇り |
メンバー |
7名 |
コースタイム |
04:55 |
桜平駐車場 |
06:10 |
オーレン小屋 |
06:45 |
夏沢峠 |
08:05 |
硫黄岳山頂 |
09:00 |
ツクモグサ発見/10:00 |
10:55 |
硫黄山荘昼食/11:30 |
12:35 |
夏沢峠/12:45 |
14:30 |
桜平駐車場 |
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三時に起きて四時出発。途中、三井の森の空き地に四台の車を停めて一台に相乗りし、道の悪い林道を走らせて桜平に着いたのは五時前だった。六月の朝は早く谷間はすでに明るい。広い沢筋の林道を夏沢鉱泉を通り、泊まり客のにぎやかなオーレン小屋でちょっと休憩。
ここまで来れば夏沢峠は近い。
暗い森に突然朝日が射し込んでくる。
シラビソ林の梢を抜って、
透明な幾状もの光跡が苔道を照らす。
森の夜明けは神々しい。
夏沢峠には予想外の好天が待っていた。
わずかに奥妙義の山塊が頭を出すだけで、
浅間山も草津の山々も雲海に隠れている。
荒々しい硫黄岳の噴火壁が威圧的に見下ろしている。
うんざりするような登りを考えながら、初対面のツクモグサが頭に浮かぶ。
毎回息が切れる登りの始まりである。辛抱、辛抱。
なぐさめてくれる高嶺の花はなく、ツクモグサの開花に一抹の不安。
なぐさめてくれるイワヒバリの声援で、ふたつ、みっつとケルンを数え、
急登を乗り越した硫黄岳のテッペンは、八ヶ岳のパノラマ台。
だだっ広い岩屑の頂から、横岳、赤岳、阿弥陀岳が指呼に立ち並び、
そのまた奥に権現岳、編笠山が顔を覗かせている。
偉大な自然に敬意を払い、心で合掌。
稜線の道は一旦南へ鞍部の硫黄山荘まで下る。
小屋番のお兄さんから花情報を聞きだし、元気百倍。
咲きたてのツクモグサが待っている。
コマクサやウルップソウなど高山植物が咲き乱れる時期には一ヶ月は早い。
先がけて咲く命の長いオヤマノエンドウ、コメバツガザクラが色を添える。
晴れていた稜線に雲が湧き、大同心を包みかける。
先を行くMさんの笑顔にツクモグサの字が見える。
西斜面の岩稜に薄黄色の点在。
本日の目的が果たせる瞬間の感激、初対面のツクモグサ。
この花は夏に先がけて一番に咲き、本番時には姿を消す。
この花だけを目的に長時間の山旅をしない限り、お目にかかれない貴重な存在。
本州ではここ南八ヶ岳横岳と白馬岳だけに分布する。
氷河期に北方から南下し、暖かくなるに連れて取り残された高山の花。
ウルップソウと同じ歴史経緯を持つ珍しい花は、まだ咲きたてのみどり児。
産毛が光を浴びて初々しい。
透けるような淡い黄色が上品な乙女心を偲ばせている。
一目惚れ、片思いのカメラが花芯に合焦。
今日の行程は横岳までのピストン。私の目的はツクモグサなので、ゆっくり時間をかけて仲間の帰りを待った。近くにミヤマキンバイ、ウラシマツツジを見つけたが、その他の夏を彩る高山植物には、まだまだ時の経過が必要である。
撮影中にTEIHAIメンバーの隠れ里さんに会えた。これまた初対面。奇遇を取り持つ縁は、ツクモグサのおかげである。下山中の昼食が悪かったのか、お腹を冷やしたのが原因なのか、腹痛で吐き気をもよおし、少々難渋の思い。仲間の皆さんに気を遣わせたが無事下山し、日暮れ時に自宅に帰ることができた。
★花の入笠山へ |