宝剣岳・木曽駒ヶ岳 中央アルプス

宝剣岳・木曽駒ヶ岳 中央アルプス
ほうけんだけ 2931m・きそこまがたけ 2956m


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1. ロープウエイから見る夜明けの南アルプス。鋸岳・甲斐駒ヶ岳・仙丈岳・北岳
2. 千畳敷から眺める朝の宝剣岳
3. 宝剣岳稜線から南アルプスを眺める
4. 三の沢岳分岐近くの稜線から見る中央アルプス南部。空木岳・南駒ヶ岳

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5. 極楽平から見る御岳
6. 霞む南アルプス。左から鋸岳・甲斐駒ヶ岳・仙丈岳・北岳
7. 宝剣岳稜線から南部を見る。手前左、熊沢岳と右、三ノ沢岳。後方左、空木岳と右、南駒ヶ岳。その遙か右に恵那山
8. 天狗岩と三ノ沢岳


ヒメウスユキソウ コマウスユキソウ

時期的に10日遅れで今年はジャストのご対面。
極楽平〜三の沢岳分岐、木曽小屋巻き道、駒飼池周辺に群落している


高山植物が一気に咲き乱れるルート沿い

シナノキンバイとチングルマ

イワツメクサ (右一枚はタカネツメクサ)

コイワカガミとミヤマキンバイ・ヨツバシオガマ・チシマギキョウ・ミヤマダイコンソウ・ミヤマアキノキリンソウ
チシマギキョウ/花や萼に長い毛がある・毛のないものはイワギキョウ

ミネズオウ・コマクサ・クロユリ・ウサギギク・ミヤマキンバイ
ミヤマキンバイの見分け方/イチゴに似た三出複葉・花弁の中心が濃黄金色

ハクサンイチゲ・ハクサンフウロ・タカネグンナイフウロ・ミヤマリンドウ・ミツバオウレン・ミヤマゼンコ

アオノツガザクラ・ツガザクラ・コケモモ・オンタデ・ハハコヨモギ・ヤマハハコ・ウラジロナナカマド

サンカヨウ・モミジカラマツ・カラマツソウ・トリカブト属・ヤマブキショウマ・ムカゴトラノオ・キバナノコマノツメとチングルマ



山名 宝剣岳・木曽駒ヶ岳
標高 2931m, 2956m
所在地 長野県駒ヶ根
登山日 2006年8月5日
天気 晴れ
メンバー 4人
コースタイム
05:35 千畳敷
06:15 極楽平
06:45 三ノ沢分岐朝食/07:10
07:50 宝剣岳山頂/08:10
08:30 宝剣山荘
10:10 巻き道経由木曽小屋
10:30 木曽駒ヶ岳昼食/11:25
12:55 馬の背分岐
13:15 濃ヶ池/13:35
14:35 駒飼池
15:20 乗越浄土
16:05 千畳敷



長い梅雨のおかげで、高山植物とのデートがことごとく潰された。梅雨末期の集中豪雨で、中央アルプス駒ヶ岳ロープウエイも林道崩壊、7月24日まで運休。仕事に追われ、結局8月第一週が最後のチャンスと、日帰り強行軍で単独行を考えていた。そのことを仲間のメーリングリストに流したら、参加希望の連絡が入り、結局、車一台4人で出かけることになった。

終電で名古屋駅に着いたNさんを乗せたのが、午前0時20分。そこから高速に乗って駒ヶ根インター経由、萱ノ台駐車場に2時半到着。ここで二時間の仮眠を取り、4時50分に予約しておいた丸正タクシーに乗って白樺平のロープウエイ駅に。ハイシーズンの始発、5時20分のロープウエイで千畳敷に着く。運行始発バスの到着前に出発するので快適。

人気の宝剣岳は鎖場、梯子が多く、稜線渋滞が予想されるので、早めの出発とした。まずは極楽平の中央アルプス稜線を目指して登る。朝日を浴びて、宝剣岳が青空の下に聳え立っている。千畳敷カールには高山植物が多い。キバナノコマノツメ、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、コイワカガミ、モミジカラマツ、ミヤマキンバイなどなど。撮影は程々に、今日の目的のひとつ、ヒメウスユキソウの群落地を目指して登る。極楽平の稜線に出ると、雲海の彼方に御岳が浮かぶ。朝露に濡れたチシマギキョウがうなだれている。水を補給してから稜線を北上し、ヒメウスユキソウを撮影しながら三ノ沢分岐で朝食休憩。まだ7時。宝剣山荘に泊まった登山客が話しかけてきた。彼らは空木岳に向かうという。うらやましい。僕の夏山は決まって日帰りである。

ここから宝剣岳山頂までは、スリル満点の岩場が待っている。高所恐怖症の人にはちょっと可哀相だが、中央アルプス人気ナンバーワンルートである。危険個所には鎖や鉄梯子が整備されているので心配はない。ルートを間違えず、三点確保を守れば楽しい登山が味わえる。「花と岩」をテーマに撮影しようと考えていたが、このルートにはミヤマダイコンソウとイワツメクサがほとんどで、気に入る構図がない。メンバーを誘導しつつ、あっけなく宝剣岳に着いた。二組の先客で、小さな山頂はまだ余裕がある。山頂、祠の尖塔上に立つと、さすがに目眩を憶える。歳を取ったものだ。記念写真を撮って、山頂を後にする。木曽側の岩場を10分も下ると、道は緩やかになり緊張感から解放される。

宝剣山荘の回りには、すでにたくさんの登山客が憩っている。僕たちは木曽駒ヶ岳に向かう。中岳ルートはガレた砂礫ルートなので、南側山腹を巻く木曽小屋ルートを歩く。巻き道ルートはふたつあるが、下のルートを取る。ここは隠れたヒメウスユキソウの撮影ポイント。ハイマツ帯の中にルートは造られていて、中岳ルートの混雑をヨソに快適で静かな登山路が待っている。撮影に充分の時間を割きながら、木祖村に下りるルートの分岐に着いた。これを右に登ると木曽小屋がある。小屋の右側にはコマクサが育てられている。すでに時期は遅かったが、まだまだ耐えられそうなクイーンを撮ってから木曽駒山頂に向かった。

山頂の日射しは強烈で、人も多く熱気ムンムン。昼食場所にはふさわしくないが、まずはビールで乾杯。とりとめのない話題で時間つぶし。地平線にわずかの雲を認めるだけで、相変わらずの単調な青空が360度の展望を開いている。富士山だけは確認できないが、乗鞍・槍穂高、浅間、蓼科、八ヶ岳、南アルプスの3千メーター級の山々が連なっている。1時間近くの休憩の後、馬の背経由で濃ヶ池を目指して下ることにした。明日が日曜なので、今日一日はドップリ時間をかけて山を堪能する。

濃ヶ池周辺は残雪もあり、湿潤な土壌と山に囲まれた恵まれた環境下で、すくすくと高山植物が育っている。カラマツソウ、モミジカラマツ、アキノキリンソウ、シナノオトギリ、ハクサンフウロ、タカネグンナイフウロ、クロユリ、エゾシオガマ、ヨツバシオガマ、ミヤマリンドウ、ミネズオウ等々、ルート沿いに見つける花は数限りない。ここからは乗越浄土までダラダラの登りになる。さすがに疲れている。すでに8時間近く歩いている。途中、雪渓の雪解け水で顔を洗い、首筋を冷やし、駒飼池で休憩を取り、乗越浄土から一気に千畳敷に下りた。

4時過ぎにロープウエイ下り整理券をもらったが、2時間半待ちとのこと。この時間になれば、観光客も引いた後との思惑が外れた。ビールを飲み、歓談の後ひと眠り。寒気に目が覚めると今度は雨。待つことは辛い。結局、真っ暗の駐車場に戻った時は7時をはるかに回っていた。

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