Weeklyひとことバックナンバー

Weekly お節介ひと言 back-1


2015/12/23

◆寂しくなったクリスマス

商業主義と言われながら、宗教的神事とは関係なくフィーバーする
日本のクリスマスはクライマックス。我が家では妻と慎ましくコン
ビニのショートケーキで、イブは呆気なく終ることでしょう。

過去の記憶をたどると、幼少時に兄と近所のお寺のスギの若木を切
り落として持ち帰りツリーを飾ったのが最初。家庭内で祝った記憶
はありますが、サンタのプレゼント習慣はありませんでした。

結婚を機にクリスマスはイベントになり、ホテルのディナーショー
に出かけたり、会社の従業員にクリスマスケーキを予約プレゼント
したり、仲間とパーティを企画する楽しさも増えました。

欧米型の一般的なクリスマスはイエス・キリストの降誕を祝うミサ
に合わせて家族でプレゼントし合い、パーティで喜びを分かち合う
イベントです。我が家では、子供の誕生から始まりました。

サンタの贈り物、クリスマスケーキ、鶏のモモ肉が定番ですが主役
は子供に代替わりしました。その子供も別の街で家庭を持つように
なると主役は孫になりました。核家族化の宿命でしょう。

「じいちゃん、ばあちゃん、ありがとう」の電話には贈り物に興奮
する情景は伝わりますが、実感にはほど遠い。クリスマスは青春の
特権であり、中高年はスポンサーで満足するのが日本の習慣です。

◆喜びを分かち合うイベントづくり

クリスマスをリアルに喜び合う楽しさは核家族化で無くなりました
が、直ぐ後に控えているお正月のイベントが待っています。昔から
変わらない日本の素晴らしい家族ぐるみの風習です。

核家族化が進んでも、世代を超えた家族の集いは大切にしたいもの
です。一堂に集まって楽しく語り合い、美味しく飲み食いし、時間
を忘れてゲームにふける。別れるときは涙して再会を誓う。

次回はどんな趣向で喜ばせようか。新たなサプライズを考えるのも
楽しみです。継続は金。毎年、集いたくなるイベントのターゲット
は可愛い孫を虜にする戦略です。毎年の変化対応が楽しみです。

「人間」は「人」の「間」と書きます。人の間の関係、人間関係を
意味しています。人生の幸福とは人間関係で成り立ちます。まずは
家族の人間関係が基本であり、そこから社会に広がります。

情報化社会、核家族化、少子化は、人間関係の構築を阻む悪い要因
になっています。企業活動においても、人間関係の構築が苦手な人
が増えています。人と語り合うイベント作りが大切です。

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2015/12/17

◆過去、現在、未来のフレームワーク

長い人生、何が良くて何が悪いかは、過去の反省ではなく、現在の
ありのままが正直に物語っています。過去は経験と共に長い歴史を
刻みますが、過去に戻り過ぎると未来が見えにくくなります。

想い出となる遠い過去は記録に留め忘れましょう。遡るほど反省が
愚痴になり迷路をさ迷います。遡っても記憶に新しい3~5年まで
として、論理的に分析し、現在の生き方に役立てることです。

話が逸れますが、私の妻は過去の記憶力がズバ抜けていて私の浮気
の回数、年代、時代背景を決して忘れません。「忘却は美徳です」
というのですが、コトある毎に過去を引っ張り出して責めます。

未来は誰にも分かりません。神様ではありません。未来が見えない
から不安が宿ります。昔は小さな地域で村社会の互助で暮らしが成
り立っていました。半径1キロの生活圏は未来も見えました。

現在は情報化により地域の枠が外されました。グローバルな環境の
変化は、個人的には対処できない。現在が不安だと未来は益々不安
が増幅します。現在は安心でも明日は神のみぞ知る領域です。

私は現在、70歳代に突入しました。人生のほとんどは過去になり
ました。現在領域を5年とみると、未来は平均寿命で10年足らず
ですから可視可能領域です。年と共に不安領域は小さくなります。

人生、不安大敵です。不安がなければ幸せです。幸せとは心の問題
です。「幸せですか?」の対極に「不安」を置いて、不安を消去す
ることで心の平安を保つ。幸せづくりは大器晩成に通じます。

◆目標がある人とない人の格差

仕事や人生に、ありたい夢や目標を決めて行動する人と、成り行き
任せで時代の変化に流される人では、どちらが生きがいのある暮ら
しが楽しめるでしょう?。能動と受動の資質でも区別できます。

こうありたいと5年ごとに目標を定めて自分を磨きチャレンジする
人と、自分では何も決めず、親や他人の指示で操られるように動く
人。自責と他責の違いは、長い人生では大きな資質格差が出ます。

少なくとも人生は自己責任です。他者依存による他者責任の転嫁は
本末転倒。受動資質でハッピーは与えられるものではなく、七転び
八起きの自己責任、能動資質でハッピーを自ら掴む精神力の差。

仕事の糧で人生を豊かにする、ワークライフバランスのビジョンを
立てる。10年スパンで人生70年目標を展望してみましょう。
1年毎のアクションプランを作り、自らを高めながら挑戦する。

目標を定め、それに近づくことで不安は減っていきます。人は必ず
成長します。成長と反比例する不安の減少は、幸せの指標を表しま
す。大器晩成とは、コツコツ成長し70歳で幸せを実感すること。

◆ありたい姿を実現に導くBSCゴールシート(Goal Sheet)
A四版たった一枚で自分の仕事の上達具合を分析でき自己管理する
新開発のゴールシート(BSC目標達成シート)は人の力を伸ばす
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2015/12/09

◆「十年待てば逆転する」時が来た

以前、講演や経営戦略塾で、よく話したことです。空洞化が騒がれ
ていました。特に製造業では先を競って中国へ進出しました。嘆き
節の中小企業経営者に、10年待てば国内回帰が来ると。

人件費、円安、生産性の三つの要素を掛け合わせると、安価だった
中国の労働コストが日本より高くなっている。北京のワーカー月給
は年一割の上昇を続け、今では平均7万円を越えています。

1ドル80円時代からすれば、今の為替レートは120円で150%に
なっています。北京の実質賃金はドル換算で10万円強です。まだ
日本に比べてはるかに安いと思ってはいけません。

生産性が問題です。世界銀行等のデータでは、日本の生産性は中国
の3倍強です。人件費×為替レート×生産性では、中国は30万円
以上の賃金になります。以上から中国脅威論は過去のことです。

※日経新聞12/6日号と日本生産性本部データより
http://www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2014_3.pdf

◆生産性を高めることが日本中小企業の使命

生産性はGDP(付加価値額)で表し比較します。データは総量で
表すとアメリカ、中国、日本の順です。国民一人当り、就業者一人
当り、時間当りのデータが本来の強さを表すものでしょう。

就業者時間当りGDPでは、先進七カ国で日本はビリです。製造業
では上位ランクされても、卸売小売業、電気ガス業、金融不動産等
サービス業では生産効率が悪いようです。これが大問題です。

中国は当分安心でしょう。環境問題、民族紛争、治安と軍事等問題
が山積しています。脅威は共産党の崩壊です。身近な脅威は台湾や
韓国の追随です。日本の優位は培ってきた技術と信用でしょう。

海外展開から国内回帰が始まっています。海外進出か国内展開かを
深く戦略思考する時機が来ました。私的には海外展開は社内留保の
潤沢な企業に任せ、資金のない中小企業は国内で充分戦えます。

◆日本で作って海外に輸出する

東南アジアの労働コストも時間の問題で、直ぐに中国化することは
目に見えています。国内に腰を落ち着け、信頼の品質をさらに磨く
と共に、生産性の向上を図ることです。目的は時間生産性です。

時間生産性を上げる手段は、設備生産性と労働生産性の二つのフレ
ームワークで戦略化します。設備生産性は先行投資のゆとりが必要
であり、ITシステム化やロボットなど生産設備による強化です。

最も重要な戦略は労働生産性向上です。時間当たり生産性を高める
人材能力の向上です。業務処理スピードアップの教育訓練も大切で
すが、ムダなデッドタイムの発見と排除が見逃されています。

日本が世界と戦える生産性を確立し、品質と生産性で追随を許さな
い組織業務システムを構築することです。規模の小さい中小企業は
身の丈で、シンプルな戦略的経営活動を図って下さい。

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2015/12/02

◆三つの稼ぐ力のフレームワーク

経営は長期戦です。景気の善し悪しに左右されますが、5年スパン
で黒字を積み上げる、コツコツ執念を持ちたいものです。一喜一憂
しても5年で見渡し、3つの稼ぐ力を組織に根付かせることです。

第一の稼ぐ力

儲かる事業の創出です。確実に利益が稼げるビジネスモデルを創り
上げるか、知的財産などのインセンティブで毎月、自動的に利益が
積み上がるビジネスです。いわゆるブルーオーシャンの創出です。

儲かる特許で囲い込めれば大成功ですが、世の中そんなに甘いもの
ではありません。5年でひとつのビジネスモデルが育つよう、組織
でアイデアを創造するベンチャープロジェクトを盛んにします。

第二の稼ぐ力

財務に疎い経営陣は反省すべきです。どうすれば黒字になるかの方
策を真剣に考えることです。売上の向上は使命ですが稼いでもザル
のように支出の垂れ流しでは利益は貯まりません。

黒字で利益の溜まる財務システムを構築することです。誰でも理解
できる売上総利益(粗利)と営業利益の二つの利益を、社員に理解
させてルールと基準を作り、経営コスト削減を図ることです。
損益計算書の経常利益や貸借対照表の自己資本は経営陣責任です。

第三の稼ぐ力

組織人材個々の稼ぐ力です。社長も管理者も従業員も、自分がどれ
だけ稼いでいるか分かっていない実態がザルになっています。稼ぐ
力を数値化することです。聖域を作らず全員最適で稼ぐことです。

稼ぐ力を売上だけで評価しないこと。カイゼンで品質を高めた数値、
合理化で生産性を高め短縮した納期時間、差別化で顧客を納得させ
た成約向上率、指導で部下の能力を高めた付加価値額などなど。

人の能力は一年で完成するものではありません。コツコツ積み重ね
の結果です。5年、10年ビジョンで目標を設定し、1年毎に成果
を確認しながら夢を追うことで生きがいを楽しみたいものです。

◆3つの稼ぐ力を育てるBSCゴールシート(Goal Sheet)セミナー
期日 12月8日(火)14:00~16:30
場所 ウインク愛知 1108室(11F)
会費 10,800円 ※経営戦略塾会員無料
特典 受講者には新開発のBSC目標達成シート電子書籍進呈
主催 一般社団法人経営戦略塾名古屋支部

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2015/11/20

◆秘書を雇ってください

「忙しい」が口癖の社長は多い。ほとんどは器用貧乏の性質が仇と
なっています。加えて他人を信用できないと、何でも自分でやらな
いと気が済まないから、益々忙しくなります。

伝票処理と経理記帳、計画書や企画書の作成、会議資料、客先提出
資料、電話とメール問い合わせの返事、工程管理、外注手配、複写
製本等など雑用も含むすべてを独りで器用にこなしています。

笑い事ではありません。大なり小なり、中小企業経営者は越権行為
のお手付き違反が多すぎるのです。小規模企業では、トップ自らが
営業やモノ作りで売上貢献しない限り、業績は上がりません。

トップは少なくとも月額100万円の付加価値額を上げないと経営
は成り立ちません。これは一週25万円、1日5万円、1時間8千
円になります。労働分配率まで考えれば、二倍必要です。

トップは自分の工賃を時間1万円で考えるべきです。それだけ価値
があることを自覚して下さい。自覚すれば、自分の仕事は何である
か、分かるはずです。一般職の雑用や定型業務は手を出さない。

一般事務職の非正規社員を秘書として雇ってください。1千円未満
の時間給です。社長の時間工賃の1/10で済みます。月給10万
円未満で済みます。1億総活躍時代を安倍さんも望んでいます。

忙しい社長の業務を半減させて本来の社長業務に専念しましょう。

◆職種で工賃は大きく異なります

社長の次の金食い虫は営業です。給料以外の固定費支出は、出張費
交際費、専用車両、雑費など、給料も含めた月額は50万円を下り
ません。その営業社員がデスクにへばり付き外出していません。

営業部門の現場を見て下さい。営業は外へ出て戦うことが重要任務
です。それなのに、ほとんどの時間を社内で消化しています。社内
の業務を極力無くすことです。営業秘書を雇ってください。

営業主体企業では、営業事務職を置いて、営業社員をサポートして
います。伝票処理、調達手配、販売管理、社内営業などの業務を熟
しています。餅は餅屋に任せるべきです。しかも安価な給料で。

営業職費用は月額50万円。営業事務職費用は非正規で月額10万
円で済みます。時間の使い方と職種、職務の分け方で、経営コスト
を下げると共に、業務の生産性も向上します。

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2015/11/08

◆ムダを断捨離する「捨てる決断経営」

捨てることに「もったいない」感情論では、変化する現代経営には
着いていけません。捨てる即断即決が経営コストを押し下げます。
断捨離観念を一新させることで、人材は賢く効率よく仕事します。

前回は、2S(整理整頓)の毎日習慣化で、ムダを省く組織活性化
について、お話ししました。この断捨離観念の究極が2:8の法則
です。今日は、捨てる究極に触れてみましょう。

2:8の法則は、しばしばテーマにしていますが、経営戦略の基本
中の基本、選択と集中戦略のコンセプトワークです。結果の分析で
判断できるので、答えも早いし、リスクも少ない戦略思考法です。

◆2:8の8を切る。

売れ筋2割で8割の売上を占める。上顧客2割で売上の8割を占め
る。粗利率の高い業務2割で営業利益の8割を稼ぐ。商品開発の8
割は失敗している。これらの結果から、ムダを断捨離します。

以上のように顧客、製商品、業務をリストアップして、上位2割を
選択すると、8割の収益性が確保できているとします。経営活動の
2割で8割の効果があるのなら、残り8割の活動は排除対象です。

8割の断捨離法を考えることです。業界が成熟期から衰退期に入っ
ていれば、事業の縮小は必然です。思い切って断捨離し、経営活動
の余った8割パワーを新事業開発に充てることも一案です。

◆ABC分析で、上中下を2:6:2に分け、2を捨てる。

2:8の法則は、パレートの経験則の俗称です。これから導き出さ
れた割合法がABC分析です。優性、普通、劣性の三分類で対処法
を分ける戦略です。二分類を三分類でリスクを軽減する手法です。

以前、営業重点戦略を紹介しましたが、次のようになります。
優性A分類 上位2割 売上8割 毎日接触営業する
普通B分類 中位3割 売上1割 毎週一回接触営業する
劣性C分類 下位5割 売上1割 月一回電話伺い、又は客待ち

割合比率2:3:5を、2:6:2で分けてみると、
優性A分類 上位2割 効果80%
普通B分類 中位6割 効果19%
劣性C分類 下位2割 効果 1%

C分類は1%しか効果がないのに20%の経営活動をしています。
どうしますか。Cを捨てて、2割の経営活動を、他に充てるほうが
成長に貢献できるはずです。こういうムダを見つけることです。

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2015/10/28

◆やることイッパイで、アップアップ

仕事のこなし方が、個人任せになっている業種や職種があります。
営業、販売、制作製作、サービス提供などの職種では、成果目標が
設定され、それぞれのルールはあっても、やり方は当人任せです。

個人の能力は売上、受注件数、成果などの数字に表され、評価対象
になります。同じような経歴やキャリアでも、比べると歴然と差が
出てきます。何が違うのか。低い人の底上げが重要課題です。

仕事のこなし方が下手な人の習慣をハッキリさせることです。下手
な人ほど、忙しく働いているように見えます。当人も「忙しい」が
口癖であり、夜も遅く、就業時間も長く、愚痴も出ます。

やることイッパイで、アップアップの状態が常態化。しかし、当人
は分かっていません。自分の習慣の欠点を。結論を言えば要領が悪
い、の一言です。要領の良いルールを作り習慣化させることです。

電話で熱心にお客さま対応しています。商品説明に延々一時間も話
していますが、一見は百聞にしかずを知るべき。上司から問合せの
資料を探しています。平積みの資料を一枚一枚めくっています。

書き方のルールが分かっていない人は、報告書に半日を費やしてい
ます。名刺ファイルのインデックス管理が下手な人、フォルダー管
理できないPCに弱い人の、探索時間は膨大な時間ロスです。

◆捨てる決断と見やすい整頓の時間観念

2S(整理整頓)の習慣化で1日1時間就業時間短縮。
1日1時間短縮できれば、1年で200時間以上、労働時間が短縮
できます。2S(整理整頓)のルールを作ってください。

1.整理は捨てること。
毎朝のゴミ廃棄。郵便物、各種資料、伝票、名刺などデスク回り
毎朝のPCゴミ廃棄。メール、データファイルなど

2.整頓は見つけやすい管理。
捨てた後のモノは、ラベルを付けて定めた近い場所に保管
捨てた後のデータは、定めたフォルダー名とファイル名で保管

データ化を優先すると、資料は激減します。個人資料はデスクの袖
で充分足ります。デスク上はスッキリし、壁に並ぶ棚は不要になり
ます。毎日捨てる習慣は、探索時間と移動時間を減らします。

2:8の法則で2割の劣性業務を排除する。
「売れ筋2割で8割の売上を占める」経験則を展開したABC分析
で2:6:2に分類し、劣性下位2割(貢献度1%以下)を排除。

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2015/10/5

◆中小企業の経営課題を解決する

中小企業庁の白書から、経営者が抱える経営課題を拾い上げてみる
と以下のようになります。
出典/(株)日本政策金融公庫「2012年の中小企業の景況見通し」
調査対象/三大都市圏の(株)日本政策金融公庫取引先(複数回答)

 1位 74.4% 営業力・販売力の強化
2位 36.2% 人材の確保・育成
3位 34.9% 販売価格引上げ、コストダウン
4位 30.6% 財務体質の強化(借入金返済等)
5位 25.0% 技術・研究開発の強化
6位 18.6% 新製商品・サービスの開発、新規事業の立上げ
7位 16.1% 自社ブランドの育成・強化
8位 11.2% 海外事業展開
9位 10.8% 供給能力の拡充(設備増強等)
10位  7.8% 既存事業の絞り込み

大局的に考えれば、10位以下は無視して対策を考えますが、10
の課題を一度に解決することは無理です。しかし、この課題を整理
して並べると、やるべきことは半減します。

ここでバランススコアカードが役立ちます。四つのフレームに分類
すると見えて来ます。

◆財務フレーム
販売価格引上げ、コストダウン。財務体質の強化、借入金返済
◆顧客フレーム
営業力・販売力の強化。自社ブランドの育成強化。海外事業展開
◆業務プロセスフレーム
新製商品・サービスの開発、新規事業の立上げ
技術・研究開発の強化。供給能力の拡充(設備増強等)
◆人材と変革フレーム
人材の確保・育成

各フレームの課題を分析して整理すると以下のようになります。

◆財務フレーム
借入金返済が可能な売上高とコストダウンによる利益の確保
◆顧客フレーム
営業・販売・販売促進力の強化によるブランドのシェアアップ
◆業務プロセスフレーム
技術開発力強化で新製商品サービス新事業の創出と生産能力向上
◆人材と変革フレーム
人材の確保と能力開発による業務プロセスの活性化仕組みづくり

10あった経営課題は四つに整理集約できました。しかし、財務と
顧客は経営指標です。売上高、利益、シェアアップは目標設定値で
あり、業務プロセス・人材と変革フレームに依存する結果です。

経営課題の解決は直接的な行動にあります。人材が何を考え、何を
行動に移すか。経営課題の解決は、人材と変革フレームと業務プロ
セスフレームで決まります。数ある経営課題は二つに絞られます。

1.人材の確保と能力開発による業務プロセスの活性化仕組みづくり
2.技術開発力強化で新製商品サービス新事業の創出と生産能力向上

中小企業の経営課題を解決する組織戦略は以下のストーリーが考え
られます。バランススコアカードの論理思考法を活用すれば、10
の課題をあれこれ考えるより、一本の組織プロセスで成立します。

組織の各部門が分担して課題解決に努力すれば可能領域内です。

人事部門 アイデアカイゼン提案制度の導入と採用評価表彰
開発部門 技術開発力強化で新製商品サービス新事業の創出
生産部門 カイゼン提案の導入による品質と生産性の向上
営業部門 開発生産部門の顧客満足を活かした営業販促活動の強化
管理部門 財務指標の売上と利益を達成させる目標管理と指導

各部門の責任者がミッションとして責任を全うすべきです。

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2015/09/10

◆思い通りにならない人生

夢を描く。目標を立てる。計画を練る。今より楽しく幸せな生き方
を求める生き物は人間だけです。小学生が「僕は宇宙飛行士になり
たい」「私はお医者さんになりたい」と夢を語り始めます。

十歳から始まる夢物語のほとんどは、忘れられたり、時代の移り変
わりでほとんどは消滅します。自分を見据える青春時代を迎えると
夢はかなり具体的になりますが、現実の問題にもぶつかります。

この悩める問題を前に、あっさりあきらめる人、避けて別の安易な
道を求めてさ迷う人、優柔不断で流される人など等、多くは現実に
妥協して、夢を捨て苦労を嫌い、平凡に生きる道を選んでいます。

こういう人が全体の8割。2:8の法則の2割の人は大志を抱いて
夢を追います。青春時代の後半で大勢は決します。運もチャンスの
内です。チャレンジ精神と負けん気のド根性が勝負でしょう。

2:8の法則の2割の人の更に8割が振い落され、残りの2割の人
だけが夢を持ち続けて戦っています。割合は経験則で出されますが
大自然の営みの法則のように思います。競争の強弱で決します。

運が8割かも知れませんが、人生は思い通りにならないことを知っ
ている人は、頑張るド根性を持ち合わせています。失敗は当たり前
で、挫けることなく、しつこく猪突猛進できる資質でありたい。

◆失敗に挫けず挑戦し続けるド根性の人生

人生90年は、1,080月、32,850日もあります。
企業寿命20年は、240月、7,300日もあります。
社長寿命40年とすれば、480月、14,600日もあります。

人生は長い。いちいち失敗に一喜一憂、頭を悩ませていたら、命が
いくつあっても足りません。ストレスは短命のもと。失敗を糧とし
て奮い立ってください。経営者資質とは、そんなものです。

終わり良ければすべて良し。夢を描くとは、ビジョンや経営計画を
立てて目標に到達することで近づいていきます。時には外部環境に
潰されます。時には戦略方針を間違えることもあります。

繰り返しの負けん気とド根性で乗り越える。最後に笑える境地とは
社長の座に登りつめたい負けん気とド根性の継承者にバトンタッチ
できるときです。事業継承条件は自己資本比率。

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2015/09/07

◆「まあいいか」の妥協悪

臭いモノには蓋をする。面倒臭いから、見て見ぬ振り。時間がない
から妥協する。まあいいか。私も凡人の類だからよく分かります。
「まあいいか」が罷り通ると、経営品質はどんどん悪くなります。

良いか悪いかの間に「まあいいか」のグレーゾーンが広がっていく
組織は危険極まりない。「まあいいか」は人の判断力であり、人材
の資質に関わります。資質が蝕まれることは恐ろしいことです。

「まあいいか」でトラブルが起こり「まあいいか」で信用を無くし
業績悪化に「まあいいか」で債務超過の真っ赤っ赤になってから、
「どうしよう」では助けようがありません。

「まあいいか」は企業内に、問題という在庫の山を築いています。
在庫管理の下手な会社が利益を垂れ流ししているのと同様で、在庫
はすべて悪です。問題の不良在庫をいかに処分するかが経営です。

◆タイムロスを増産するグレーゾーン

グレーゾーンは判断というプロセスで、時間を消耗します。決断の
丁か半かの狂いも多くなります。グレーゾーンを無くす工夫が経営
品質を高めます。コストで最も高価なものは人件費です。

SWОT分析では内部環境で、強み(S)と弱み(W)を洗い出し
ます。問題解決では、良い(G)悪い(B)で問題を洗い出して頂
きたい。GとBの境目を具体化する、数値化が賢人の証です。

問題発見から課題を設定し、解決策の判定はGの数値化です。
いよいよ秋の陣。結果を出す資質とは、負けん気の忍耐力でしょう。

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2015/08/30

◆即断即決即行!

ムダなタイムロス、チャンスロスを可能な限り切り詰めて、即判断
し即決定し即行動に移す、現代経営に即した活動指針です。対語の
優柔不断では、アッという間に一年が過ぎる時代への警告です。

笑い話ではなく、一年経っても何も変わらない会社は多い。リスケ
で改善計画を立てても一向に債務残高は減らない。頻発するクレー
ムを減らそうとプロジェクトを立ち上げても何ら成果が出ない。

成り行き任せを続けていると、経営力が鈍感になっています。潜在
する問題に気づかない。問題を発見できない。問題の課題が分から
ない。解決策が浮上しない。ないない尽くしで一年が過ぎます。

会議の運営方法にも問題はあります。会議は審議する場で、発想を
する場ではありません。問題発見、課題設定、解決策は、会議外に
考えるべきで、そのアイデアが議案として文書化されるべきです。

会議室で斬新なアイデアが生まれることはありません。そんな会議
は毎回継続審議を繰り返し、四半期、半期、決算期を迎えても不毛
な継続審議が膨大な経営コストを浪費しています。

経営とは持続成長させることです。成長戦略の基本は顧客満足度の
向上です。顧客満足要因は品質、価格、納期などです。満足要因を
阻害する問題を解決に導くことが全てで、その繰り返しです。

◆問題解決の即断即決即行!

すべては問題解決の進め方にあります。企業には多くの問題が潜在
しています。その問題を顕在化し、課題を見つけ、解決策を練って
試行し、検証評価してから経営プロセスに導入します。

課題はポジティブで問題はネガティブ。例えば品質向上を課題とす
れば、問題は低い歩留まり率、不良品、クレームです。例えば納期
短縮を課題とすれば、問題は低い生産性やデッドタイムです。

最初に経営課題を設定し、それを阻害する問題点を、現場で発見し
報告させ、そのカイゼン解決策を提案させる。それを会議で審議し
試行させ、効果を測定し、成果を現場に戻し横展開を図ります。

P(解決策)→D(試行)→W(評価)の長山式即断即決即行デミ
ングサイクルは理想一ヶ月ですが、通常二カ月循環で成果を求めま
す。Plan,Do,Watchのプロセス風土化が持続成長を促します。



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◆望もうが望むまいが、人生90年

私の青春期は、人生60年(寿命)と思っていました。そんな当時
に、知らず知らず、人生設計を立てていたことに気づかされます。
28歳で創業し、30歳で結婚して折り返し点を迎えています。

当時としては婚期は晩婚でした。30歳を越えると、男子は不純の
レッテルを貼られるので婚期を逸すると、母に言われました。覚悟
の執念でひと目惚れ客先女性を口説き、半年で滑り込みセーフ。

創業期は妥当でした。20歳代後半の目標通りに起業しました。怖
いモノ知らずの男一匹にリスクは思考外で、猪突猛進のチャレンジ
精神で、目ぼしい中堅企業の飛び込み営業を繰り返しました。

戦後70年の節目。私が社会に出てから半世紀が経ちました。人生
90年の長寿国になっています。私にとっては30年のご褒美の年
が与えられました。率直に神に感謝の日々を送っています。

◆健康寿命80年で人生設計

望もうが望むまいが、健康人生80年は念頭に置きたい。経営責任
のある人なら、80歳までの長期人生計画目標は設定しておくべき
でしょう。環境変化で狂おうと、安心のために作りましょう。

ヨコ軸に10年刻みで年代フレームを作ります。40~80までの
5フレーム。40は折り返し点です。家族があり経営責任も果たし
それなりの人間的ポテンシャルを高めている時代です。

タテ軸は4フレームで、経営計画、家族計画、自分計画、社会計画
を書き込みます。可能な限り具体化して下さい。各計画の重要指標
を設定して年代ごとに数値で表すことが大切です。

経営計画では事業継承が最終イベント。何年に誰にバトンタッチす
るか。規模と収益性が問われます。次世代幹部の選抜は帰属意識と
理念の理解が鍵で、育成期間を設定してじっくり決めて下さい。

家族計画は伴侶への「ありがとう」の感謝を幸せで返す心づかいが
全てです。家庭を忘れて仕事に没頭する経営者の心中も理解できま
すが、ゆとり人格で、年中行事、周年行事は決めておきたい。

自分計画は処世術です。価値ある一生を送るために、人間力を高め
る向上心を忘れてはなりません。人生哲学は、人それぞれが自分で
考えるもの。喜怒哀楽を通じて、生きがいを見つけたいものです。

社会計画は育ててくれた社会への恩返しです。小さなことでもいい
ので率先して地域のお役に立てること。豊かな心は人生の糧。年代
が増すごとに比重を高め、円熟の人生を計画して下さい。

現実的な話になりますが、貯蓄計画も重要指標です。

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2015/08/10

◆当たり前のことを、当たり前にやる

よく言われることです。言う割には効果が出ない。それも当たり前
の結果です。思わず言葉に出る叱責の愚痴でしょう。しかし、企業
の活動指針に謳われていると、赤恥を晒しているようなものです。

「当たり前のこと」とは何ですか。人生のベテランと素人では月と
スッポンです。多様化する現代のパーソナリティーでは、百人百様
の「当たり前」が罷り通っています。「当たり前」は難問です。

「半歩前へ」の張り紙がトイレにあります。それでも床は汚れてい
ます。側面カバーの両側180度を測って筒先を保てば完璧でしょう。
しかし、酔っていれば腰がふらつきます。当たり前が的を外す。

家庭のトイレが臭いのは、しつけの問題です。洋風便座に立ったま
ま的中させるのは至難です。目に見えない飛沫が臭いの素。面倒臭
くても女性を見習って座るべきです。座って瞑想しましょう。

我が家に可愛い孫たちが滞在しました。下の女児は「お腹が痛い」
がトイレの合図。上の男児は「おしっこ、うんち」のダイレクトで
直行。着いていくと、母親のしつけ通り、オチャンコしています。

「当たり前」は教えなければ分かりません。「当たり前」とは何か
を、文章にして定義しなければ、いい結果は期待できません。

◆当たり前の基本は「5S」

整理、整頓、清掃、清潔、しつけ。当たり前のことなのに千差万別
で個々の違いは甚だしい。標語だけを唱和させても効果は出ない。
5Sを具体的に文章化して検証しないと習慣化できません。

整理整頓の2Sは、業務の生産性に影響するので、当たり前に習慣
化させることが大切です。1日一回、始業時か退社時に整理整頓を
デイリー業務として遂行させることです。出来ない言い訳は却下。

整理 デスク(職場)の不要を潔く捨て、要を残す
整頓 要を、決められた場所に正しく収納する

面倒臭いとか優柔不断が職場の秩序を乱します。不要を放置すると
瞬く間に不良品の置き場が増えていきます。ファイル棚やケースが
増え、段ボールが山積みになり、活動領域を浸蝕します。

決められた場所に必要なモノがない。欲しいモノを探すのに時間が
かかる。2Sの定義がない職場は無法状態になり、生産性を著しく
阻害していきます。当たり前は定義することで活性化します。

情報化時代は捨てる覚悟が能力のひとつ。個人資料を作らず共有化
することが鍵でしょう。共有サーバのフォルダー管理同様に個人の
PCフォルダー管理を標準化することで組織活性化が進展します。

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2015/07/30

◆信頼関係は砂上の楼閣

時の移ろいや環境の変化に、人の心情や生き方は、同じように変わ
るのが自然の摂理でしょう。ましてや利害関係にあれば、かつての
信頼関係は、今日の破談にもなり明日の敵にもなります。

奥さまはあなたを心から信頼していますか。社員は社長を信頼して
いますか。顧客はあなたの会社を信頼していますか。信頼を信用で
きないから、契約で維持し、安全な関係を保とうとします。

だから契約には期限があります。社外の取引先とは契約を交わして
更新していても、身内との契約は案外曖昧です。奥さまとは結婚届
と結婚式での宣誓だけで「一生、添い遂げます」の目出度い一言。

社員も同じようなもので、雇用契約書一通が交わされるだけで放置
されている企業が多いようです。社員なら正規、非正規に係わらず
信頼関係を確認して、年ごとに面談契約更新すべきでしょう。

「信頼していたのに裏切られた」。専務が部下を引き連れて退職し
別会社を立ち上げた。他の会社では「腹心の部下が突然退職届を出
した」。理由は一身上の都合の一点張りで去って行った。

以心伝心が通じる時代ではありません。情報化時代の落とし穴とは
不完全なデジタルツールでしょう。ツィッターの短文で相互理解が
完成する訳がありません。合理化の代償は信頼関係の破壊です。

◆腹を割って話す人間関係

ピラミッド企業組織のトップポジションはツンボ桟敷です。孤独な
存在です。面従腹背の報告書の裏ではダブルスタンダードが横行し
ています。社長の思うようにならない会社の実態でしょう。

ホワイトカラーは現場へ行こう。三現主義(現場・現物・現実)で
現場との人間関係を良好にすべきです。嘘や隠し事のない「腹を割
って話し合う」土壌が、信頼の人間関係を造り上げていきます。

表情が読み取れない報告書やメールは不完全です。対面で話し合う
時間は貴重です。目的はひとつ。信頼関係の構築です。私の実業時
代は毎週5分個人面談をやっていました。信頼関係は難解です。

コンサルタントとして、現在進めていることは、アクションプラン
を相互理解のもとに作成し、個々の成果指標を数値化して、1年の
業績向上をミッションとして宣誓させることです。

毎月の目標管理を対面で分析し、ベクトルに一致するシナリオを見
つけて行動に移す。この我慢強い継続で1年後の目標をクリアさせ
る。現場を成果に導く、信頼の管理者資質を高めることです。

成果には人参が不可欠です。

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2015/07/20

◆目的と目標を混同しない

ちょっとした論理思考です。民間企業はすべからく、収益性で成績
を表します。成績は決算書で示されます。損益計算書では経常利益
(当期純利益)、貸借対照表では純資産の部が成績の結論です。

これを目的と目標で言い換えれば、損益計算書の経常利益は目標で
貸借対照表の純資産は目的となります。損益計算書は毎年の結果を
表しますが、貸借対照表は積み重ねた経営の歴史の結果です。

目標とは、目的を獲得するための前工程と考えましょう。目の前の
目標行動をきちんとやれば、自ずと目的は叶えられる。目的だけを
見ていると難しくても、目標を見ていれば易しくもなります。

例えば、純資産の債務超過を一気に解消することは至難でも、毎年
の経常利益を出していけば、年月は要しても、必ず債務超過は解消
されます。目標も目的も、具体化することで快方に向かいます。

しかし、決算書にウソがあると、経営が不明瞭になり、活動方針が
狂って堂々巡りで悪化していきます。素直な決算書は、やるべきこ
とも明確になります。東芝の不適切会計は氷山の一角です。

◆決算書から打つべき戦略を導く

多かれ少なかれ、決算書は粉飾されています。経常利益の黒字は節
税対策が施されています。経常利益の赤字は、金融機関の融資対策
で粉飾されています。公開できない決算書には訳があります。

しかし、決算書を起点とした分析で未来を図ることは、リスク管理
の上からも正しいベクトルが設定できます。経営陣は、決算書から
戦略を組み立てる能力を身に付けて欲しいものです。

貸借対照表をB/S、バランスシートと言います。資本の部と負債
の部のバランスを最適化して純資産の部の資産を創出します。資本
と負債の贅肉削減が目標であり、資産の創出が目的です。

組織の中間管理者に貸借対照表の責任はありません。理解させる必
要性もありません。彼らに必要な決算書のミッションは本業の利益
です。本業の利益とは、損益計算書の営業利益です。

経常利益や純資産は、経営陣によって操作され決定されます。この
エビデンスは中間管理者には難解です。正しい説明は時間の無駄で
す。組織の知的人材には、営業利益の創出法を指導して下さい。

売上高-売上原価(変動費)=売上総利益(粗利)
売上総利益-販管費(固定費)=営業利益(本業の利益)
売上高は目標です。営業利益は目的です。

知的人材を育てることで、経営は見違えるほど活性化します。働く
人材がどれくらい利益貢献しているかを分からせることで、仕事の
やり方が変わってきます。営業利益が人材のミッションです。

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2015/07/14

◆二兎追うものは、

シンプルにひとつに集中することは大切です。あれもこれも欲張る
と、ひとつとして成果が出せないことはよくあります。「二兎追う
ものは一兎をも得ず」。これはこれで正論です。

しかし、経営とは、今の市場で戦いながら未来の市場を探る。二兎
を追う二段構えを忘れると、短命の罠が待ち受けています。現業は
永遠ではないので、次なるモノづくりを忘れてはなりません。

事業が成熟期を経て衰退期に入っても、不採算な今の仕事に追われ
ていると、未来市場に目を向ける時間もなく、業績悪化で負け犬の
烙印を押されます。現在と未来の二兎を常に追いたいものです。

◆現在志向と未来志向の二兎を追う

言われたことだけ仕事をする。指示待ち業務、ルーチン業務は受動
です。組織にはこうした人材も必要ですが、能力開発を必要とする
人材は能動資質であるべきです。率先して現在と未来を志向する。

PMマトリクスのフレームワークで考えてみましょう。
P(Product)は製商品、M(Market)は市場、顧客です。
これを現在と未来で分けると、四つのフレームができます。

例えば営業であれば、既存顧客と新規顧客の二つのフレームで二兎
を追います。既存顧客のお守りはやさしく、新規顧客の開拓は難し
いので、ついつい既存顧客に傾いて新規開拓が疎かになります。

しかし、営業の本分は新規開拓力です。既存顧客のルートセールス
だけに偏った業務を続けていると、攻めの勘が鈍ってきます。困難
を避ける行動は、己の成長を妨げ、右肩上がりが難しくなります。

例えばモノづくりに従事する人であれば、既存の製品と新製品の二
つのフレームで二兎を追います。既存の製品が評判になって製造に
追われる日々が続くと、リニューアルや新製品に手が回りません。

既存製品の売上が鈍化してから気がついても、新たなモノが直ぐに
開発され、直ぐに売れることはありません。新たなモノコトは失敗
確率が高い。それを念頭に二兎を追う習慣を根付かせたい。

◆二兎を追う目標管理アクションプラン

大きな組織なら、営業部隊に販促企画課や新規開拓課を設置できま
す。商品開発部もあります。しかし、中小企業の大勢は十人規模の
組織です。一人二役の業務は当たり前でしょう。

二つの仕事を明確に分けて具体化し、アクションプランで目標管理
させる。それを月次で報告し、コミュニケーションを図る。時間と
成果を検証することで、前向きな能力開発が可能になります。

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2015/06/30

◆三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」

売り手の都合だけで商いをするのではなく買い手が心の底から満足
し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなけ
ればならない。三方良しの理念が確認できる最古の史料は近江商人
の中村治兵衛が書き残した家訓であるとされています。

ただし、「三方良し」は戦後の研究者が分かりやすく標語化したも
のであり、昭和以前に「三方良し」という用語は存在しなかった。
ウィキペディアより抜粋。

この考え方は経営哲学の基本であり、企業理念にも通じます。
◆私流の三方よしは「顧客満足、社員満足、会社満足」

顧客満足は広く社会満足も含めますが、この三方よしの関係を十分
満足させ、継続させることが大切ですが、時代の変化が激しい現代
は環境変化も多様であり、簡単には成り立たないのが現実です。

顧客満足は、得てして売り手の主観的な、勝手な満足の押し売りに
なることが多く、客観的な顧客にとっての価値を見誤り、間違えた
判断で失敗する例が多いようです。ミスマッチは致命傷です。

顧客は生ものの人間であるのに、インターネットやメールで安易に
顧客を分かろうとする風潮は慎むべきでしょう。顧客の顔を見なが
ら、直接対話で心を掴み、信頼関係を築きたいものです。

◆社員満足と会社満足のありかた

いろんな会社の経営計画を見てきましたが、ほとんどの場合、会社
の要求ばかりを押し付けています。目的とする数値は財務指標だけ
で、高い希望値を掲げて、社員の努力を強要しています。

言わば脅迫計画書です。これでは社員は載って来ません。やる気も
起きません。逆にモチベーションは下がります。経営計画書に会社
満足値と社員満足値を両方掲げることで、社員は目覚めます。

営業利益の2割を賞与とベースアップで還元する。
有給休暇の取得日数を7日から10日取れるよう改善する。
年間就業時間を200時間短縮してワークライフバランスを良化。

売上貢献、利益貢献できる社員を育成する早道は、損益計算書中の
粗利と営業利益の引き算を教えることです。
賢い社員を育てることで、持続成長できる企業を目指して下さい。

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2015/06/16

◆七勤ゼロ休のハードな一週間でした

札幌で介護事業をクラスター展開している若手事業家に、名古屋で
革新的なシステム開発を志すエネルギッシュな若手経営者を紹介し
て一年が過ぎました。この二組がモノづくり新連携に挑戦します。

介護事業は保険制度が施行されて15年の未成熟業界です。10年
先までは確実に右肩上がりのニーズがあります。受け入れに向けた
インフラの整備が急がれます。チャンスの芽が膨らんで来ました。

働く人たちの問題は、保険制度の理解の上で、利用者(お客様)が
満足する最適なプラン&サービスの提供と、もう一つは煩雑な報告
提出書類です。意思疎通対話能力と書類処理能力が問われます。

介護業界の高い離職率を下げ、低い賃金をアップさせ、働きやすい
職場環境を整備するシステムが望まれます。この問題を解決する介
護支援システムの開発に両社が乗り出しました。

私の役目はマーケティングを軸にした企画書の作成です。情報収集
市場調査、ライバルの存在と機能比較、事業の将来性など、綿密に
具体化して3日がかりで4ページの企画書を作り上げました。

その間にも顧問先からの会食誘惑、戦略塾での講師、問い合わせに
よる経営相談などの割り込みが入り、テンヤワンヤ。3勤4休体制
が大幅に狂い始めました。

金曜日は5億円規模の経営者の相談を受けました。幹部の造反退職
で組織的な心痛を抱えています。いわばトップの管理不十分が原因
です。組織は要になる管理者資質と能力で決まります。

再構築のためにお手伝いすることにしました。この日は事務所から
直接、明石まで新幹線で行き、娘家族との会食、一泊の後、土曜は
岡山の医療介護グループ施設を訪ねました。週末返上です。

九つの事業所を展開する理事長と施設長を集めて、バランススコア
カードによる業務改革を指導しました。全員30代~40代の元気
な管理者なので、予定のスケジュールを消化できました。

経営とは、ムダを排除することで活性化します。ムダに気づかない
組織に問題がありますが、中にいると分からないものです。外から
見る私には、ムダがごろごろ見えてきます。

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2015/05/31

◆悠々自適の財務管理

月末の資金繰りが悪く、短期借入するその場しのぎの自転車操業は
ムダな時間でストレスを溜めるだけです。月末に不在でも、財務が
勝手に回るゆとり会計の仕組みを考えたいものです。

悪癖その1 お金がないと直ぐに借入に頼る悪い性癖を正す

こういう人はお金が貯まらず、借金がどんどん増えます。運転資金
の借入を我慢することです。徹底的に支出にケチになり、収入より
支出を抑えることにだけ集中して下さい。身を切る努力です。

悪癖その2 アバウトなドンブリ勘定を戒める

仕入は必要な分だけジャストで調達し、支払は、商品が売れて入金
してから支払います。余りの在庫を出さないことと、回収サイトを
早めることです。出る金は必ず財務担当承認制にしてください。

悪癖その3 締りが悪い。月次で収支を締めていない

1ヶ月の収支を集計して分析しないと経営は決して良くならない。
(収入)-(支出)=(貯金)です。貯金はすぐ使えるお金です。
預金残高と金庫の現金が、1ヶ月分の支出額になれば安心です。

入金、出金を締めた月初に、1ヶ月分の支出額が貯金として残って
いれば、月末の資金繰りに悩むことはありません。これが悠々自適
の会計法則です。1ヶ月分のキャッシュフローを貯める努力です。

◆本業の二つの利益に集中

月次決算でB/S(貸借対照表)を分析する必要はありません。
P/L(損益計算書)も、本業の利益である売上総利益(粗利)と
営業利益だけチェックすることで業績は判断できます。

(売上総利益)=(売上高)-(変動費)
利益創出その1 外注仕入値の低減交渉と支払条件交渉
利益創出その2 必要な時に必要な量のジャスト調達在庫最適化
利益創出その3 柔軟な外注の内製化と内製の外注化
利益創出その4 閑散期に合わせた正規・非正規労務人材の最適化

(営業利益)=(売上総利益)-(固定費)
利益創出その5 固定費(販管費)リストの作成と節減目標の設定
利益創出その6 節減周知徹底と節減アイデア提案制度の実施
利益創出その7 営業利益の計算式を教育してコスト意識を徹底

営業利益がいくらあれば、営業外損失や借入金を返済できるか。
その上に1ヶ月分のキャッシュフローが貯められるか。
閑散期の赤字を放置せず、黒字化できる企業は必ず儲かります。

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2015/05/14

毎年の売上成長性が126%を維持し続ければ、10年で10倍に、20年
で100倍の売上規模になります。若い経営者の方たちにお願いしたい。
20年先に100倍のビジネスを育てる意欲を持ってほしい。

126の成功法則は、私の発想による造語です。私は28歳で創業
し、30歳で結婚した妻と二人で努力して、3年で粗利1千万円を
越えました。それから10年で粗利10倍以上にしました。

さすがに100倍は無理でした。バブル崩壊後の攻めの戦略が見事
に失敗しました。ワンマンな家業から、組織で動かす企業への転換
が思い通りにならなかった。管理者育成を怠ったことが原因です。

その後は事業を縮小し、三つに分割して黒字化しながら社員に継承
しました。継承は根気のいる仕事でしたが、出しゃばらず、彼らの
率先力をコントロールしながら、現役を引退しました。

今は戦略を絵に描く経営コンサルタントとして、企業の成長戦略を
指導することに精を出しています。目的は「126の成功法則」を
全うすることです。売上成長性126%の達成意欲です。

◆チャレンジ精神に火を点ける!

よく言われることです。小さな目標は変える力を生まない。50点
の人が60点を取ろうとすると、ちょっと頑張れば何とかなります
が、100点となると根本的に考え方を変えないと無理です。

100点を奪取するチャレンジ精神に火を点けない限り、やる気を
起こさせない限り無理です。自発的な意欲に点火されない限り不発
に終わります。馬にニンジンの例えで捕らぬ狸の具体化でしょう。

もし○○を達成すれば、あなたは○○を獲得できる。例えば売上高
10億円、営業利益10%を達成すれば、営業利益の3%は賞与と
して配当し、社員平均年俸は500万円にアップできる。

私の仕事上、企業の経営計画をよく目にしますが、会社側の目標だ
けで、社員満足目標が掲げられていません。チャレンジ精神を駆り
立てるワクワクがないとモチベーションは高まりません。

直接的に売上を左右するのは現場で働く社員です。売上は現場力で
す。現場力を高める管理者の資質。管理者の資質を高める経営陣の
資質とは。経営の善し悪しはすべからく経営陣にあります。

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2015/05/07

ネットで新入社員歓迎式の社長講演を見つけました。
日本の現状と課題を要領よくまとめた、いいお話です。

◆宿命に堪え、運命と戯れ、使命に生きる

株式会社三菱ケミカルホールディングス 社長 小林 喜光
新入社員歓迎式 講演要旨

【日本と企業が直面している課題】

「Globalization」(グローバル化)が凄まじいスピードで進む中、
国家間・企業間の競争はますます熾烈化し、他との差異化が困難に
なっている。中でも停滞する日本は、著しく国際競争力を低下させ
続けており、現状の延長線上ではとめどもない衰退あるのみだ。
今こそビジョン・戦略そのものの再構築と、それを牽引する強力な
リーダーシップが求められている。
また、人口爆発・天然資源の枯渇・環境汚染など、地球はシステム
として限界に達しつつあり、このままでは人類は100年ともたない。
このような状況下、「Sustainability」(持続可能性)がまさに全
人類的な課題となっている。当然、企業も例外ではない。

【「ことづくり」によるトータルなソリューションを】

グローバル化の奔流の中、製造業は世界的にデジタル化・モジュー
ル化が進行し、日本的な摺り合わせ・造り込みが強みを失いつつあ
る。したがって我々も、単なる「ものづくり」にとどまることなく
飽くなきイノベーションを基盤としつつ、付帯するサービスにも踏
み込んでトータルなソリューションを提供する「ことづくり」を目
指さなくてはならない。そのためには、単純なブラックボックス化
に逃避するのでは足りず、クローズとオープンの緻密な繰り返しと
戦略的な複合化による新しいフレームワークイノベーションを達成
する必要がある。

【真のグローバルリーダーたれ】

グローバルマーケットにおける高付加価値な「ことづくり」の実現
のために、新入社員諸君にも真のグローバルリーダーたることを求
めたい。すなわち、世界に通用するコンセプトクリエイターであり
かつ、研究開発・製造・販売も包含したプロジェクトエンジニアリ
ングのスペシャリストであること。また、特に日本人については、
日本人ならではのアイデンティティを強みとして自覚しつつ、自己
の存在そのものを問い詰める人間としての哲学をもって、欧米人に
負けないタフな交渉能力を身につけて欲しい。

中略

【職業は天命――プロフェッショナルとして全力を尽くせ】

私は社長就任以来、入社式では第35代アメリカ合衆国大統領J・F・
ケネディの有名な言葉「祖国があなたのためになにをなし得るかで
はなく、あなたが祖国のためになにをなし得るかを問え」を贈り続
けてきた。新入社員諸君には、「祖国」を「MCHCグループ」に置き
換えて、グループの一員としての責任を深く考えて欲しい。
また、ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーは、自己の職業に禁
欲的なまでに深く没頭することを「Berufen」(天命)と表現した。
新入社員諸君には「会社に入ったのだ」と漫然と捉えて欲しくない。
ひとりひとりが気高いプロフェッショナルとして、天命としての職
業に全力を尽くすこと――今日、それが始まったのだ。

【宿命に耐え、運命と戯れ、使命に生きる】

新入社員諸君に「宿命に耐え、運命と戯れ、使命に生きる」という
言葉を贈りたい。この世に生まれてきた以上、徹底的に悩んだ末に
「自分の使命とは何か」を探しだして欲しい。会社生活はつらいこ
とが多いかもしれないが、自分の中に原点があれば乗り越えること
ができる。
私たちは皆さんの若い力を必要とし、大いに期待している。ともに
力を合わせて、より魅力的なMCHCグループを築いてゆこうではない
か。ぜひ一緒にがんばろう。

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2015/05/02

◆成功する現代経営者の条件◆

昔と一変した経済環境にあるにもかかわらず、昔と同じ経営手法を
続けていては成功はほど遠い。真面目に頑張れば儲かった時代は過
去であり、現代は骨肉の過激な競合競争時代です。

私の周りにいるバブル崩壊後の厳しい時代に創業した若手経営者は
しっかり戦って右肩上がりの経営を続けています。厳しい環境下で
立ち上がった人から学ぶことは実に多い。素直に学びたい。

運命の悪戯で、一獲千金を当てる人も稀にいますが、人生はそんな
に甘いものではなく、失敗の繰り返しが普通です。失敗に大金を投
じるバクチは愚の骨頂です。成功:失敗=1:10の確率。

失敗は当たり前と心得て、七転び八起きの強い心で前を向く。経営
の基本は金勘定に執着すること。ドンブリ勘定は厳禁です。成功す
る経営者はケチを美徳とします。その条件とは。

●時は金なり。一カ月単位で必ず黒字にする執念。

数字に疎い経営者は必ず墓穴を掘る。カネが無くなると直ぐに借金
する悪癖が有利子負債を膨らます。気がついたら金融機関から絶縁
状の「もう貸さない」とつれない扱い。

月次決算で(収入)-(支出)=(貯金)を徹底する。

「閑散期だから赤字でも仕方ない」という考え方が甘い。閑散期に
何で稼ぐかの思案が巡らない。こういう考え方を続けると、閑散期
の赤字が、繁忙期の黒字を上回り、期末の赤字決算になります。

閑散期にわずかでも貯金できる体質にすると、繁忙期の貯金がその
まま上積みされて稼ぐ力が倍増します。どの月でも月次決算で赤字
を出さない。その覚悟を全社員に伝え、徹底することです。

●アクションプランで月次決算を個人管理

どんな仕事でも、お金に換算する具体的数値目標を設定することが
社員を賢くします。社員のすべてがアクションプランを立てて目標
管理します。数字に強い社員を育てれば、お金は貯まります。

経営者の意識改革は、財務を見える化して、全社員の前向きな協力
で(収入)-(支出)=(貯金)の数値を管理することです。貯金
の分配式を決めて待遇を向上しモチベーションを高めて下さい。

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2015/04/19

◆知識のフレームワークで知恵が湧く

知識なくして知恵は出ない。経営戦略の基本理論を勉強もしないで
業績を上げようとしても、そんなに甘い時代ではありません。競合
がひしめく時代です。楽して成果を得ることは困難です。

ある会社で「営業が育たない」と嘆いていました。よく聞くと教育
がされていません。営業の基本は商品知識です。売るべき商品知識
もないのに、顧客を説得、納得させることはできません。

新人を戦力化するなら、取扱い商品カタログを渡し、説明して最低
毎月一回は試験するキャリアパスで頭に叩き込むことです。一年で
戦力化しないと、人件費のムダ遣いが経営を圧迫します。

論理思考のプロセスを大切にしてください。
1. 基本となる知識を身につける。
2. 相手を説得する企画を練る。
3. プレゼンテーションで提案する。
4. 成果が得られない。次の手は何か。
このフレームワークの繰り返しが知恵を育てます。

◆知的生産性を高めるフレームワーク論理思考

組織の上席に知恵がないと、経営は思うようにいきません。知恵は
知識の上に成り立ちます。戦略の知識を身につけ、フレームワーク
のプロセスを繰り返すことで知恵のアイデアが成果を生みます。

例えばSWОT分析もフレームワークです。しかし、目的や目標も
設定しないでSWОTを実施すると、分析ではなく分解し、方向性
を狂わす例を良く目にします。SWОTは目標が前提条件です。

経営上の目標設定→SWОT分析→最適の戦略を導き出す

経営計画の目標は常に高いものです。これをクリアする戦略は何か
を決定するためにSWОT分析します。敵対競合に勝つための戦略
は攻めることです。この詳細はホームページをご覧ください。
http://www.s-naga.jp/k-page/10swot.html

◆仮説のストーリーフレームワーク

戦略立案のフレームワークはBSC(バランススコアカード)戦略
マップが有能です。経営計画目標を叶えるために、人材、業務、顧
客、財務の四つのフレームで論理思考します。

賢い論理思考を修得することで競合との競争に勝ってください。
BSC理論の詳細は下のホームページをご覧ください。
http://www.s-naga.jp/k-page/14bsc.html

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2015/04/19

◆稼ぐ力の定義

どんなに崇高な理念を掲げても、所詮、民間企業には「稼ぐ力」が
なければ長続きできません。力の源は勤める人たちの能力の高さの
総和で決まります。私なりに稼ぐ力の組織を定義しました。

1.持続成長を使命に、増収増益の目標管理経営を風土化する組織
2.環境変化に敏感に対応する、安定より変化に挑む意識改革組織
3.顧客(社会)満足、社員満足、会社満足の三方よしの理念組織

上記三行には経営に関する多くの重要なキーワードが含まれていま
す。企業は人が営みますが、人には寿命があっても企業には寿命が
ありません。企業はすべからく成長存続で人の暮らしを支えます。

◆目標管理→増収増益

増収増益の構造が経営資源(ヒト・モノ・カネ)の稼ぐ力を高めて
いきます。ヒト、モノに投資できるカネにゆとりがなければ強くは
なれません。投資余力を経営計画に盛むべきでしょう。

経営計画を立てても、目標管理がザルでは期待値に到達することは
できません。数値を達成する行動の自己管理が実は甘い。日々管理
をチームで検証し月次で総括する問題解決組織を風土化すること。
成果を見える化する目標管理組織構築。稼ぐ力の基本条件です。

◆環境変化→意識改革

人は安定を求めたがりますが、変化の時代の安定は、停滞を意味し
止まっている限り、変化に取り残され後退します。この原理原則を
無視することは危険です。変化への意識改革を強く望みます。

安定を求めず、変化に挑むイノベーション体質に転換する。五〇歳
を過ぎても新たなモノゴトに挑戦する。保守的にポストに胡座をか
かず、リタイヤするまで、前向きにチャレンジして下さい。
次なる新商品開発、新市場開拓が稼ぐ力を継続させます。

◆三方よし→持続成長

顧客よし、社員よし、会社よしの三方バランスがとれて、経営は健
全な持続成長が可能になります。会社の利害だけに偏った経営では
長続きしません。顧客、社会、社員からソッポを向かれます。

ワークライフバランスが叫ばれています。ブラック企業には人材が
定着しません。労働時間の短縮、有休の取得率向上は生産性重視の
環境改善にかかっています。顧客満足を損ねない三方よし策とは。

ドンブリ勘定が経営を悪化させています。成果主義が現代経営の基
盤です。時間当たりの成果を算出する改革が望まれます。難しいと
短絡的に結論を出さず、職務別時間計算が解決してくれます。

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2015/04/03

◆社長の給料

会社が儲かっているか否かは、社長の給料で分かります。50万円
以下は危ない会社です。お金が貯まらず融資機関の信用がないから
業況が悪化するとアップアップで資金繰りが長続きしません。

中小企業でも小規模企業なら、100万円あれば何とかなるでしょ
う。しかし、事業は一生です。歳を取ってからでは稼げない。若い
ときに稼いでください。事業はいつも順風満帆ではありません。

悪いとき、最後に穴埋めできるのは社長だけ。起業家ならもっと上
を目指してください。社長給料が200万円以上の会社は、業績も
順調でしょう。社員が羨ましいと思える給料を堂々と取る。

社長の給料に魅力がなければ、誰も社長を引き受けません。社長の
給料が魅力ある額なら、事業継承に困ることはありません。70歳
を越えて事業継承できない会社にならない努力をお願いします。

社員平均給与の5倍以上は、職務上許容できる範囲で、胸を張って
取ってください。有利子負債の連帯保証は社長だけです。いざとい
う時の資本増強できるのも一般的には社長だけです。

ちなみに中堅企業になると300万円が平均です。経営者の心理で
事業規模は決まりそうです。自分の給料が100万円で充分と思え
ば、それなりの小さな会社で落ち着いてしまうようです。

◆会社の実力

会社の実力は従業員の稼ぐ力で判断できます。もちろん社長や役員
も対象です。小さな会社ほど、社長の稼ぐ力がないと強くなりませ
ん。稼がない高所得役員が増えるほど、財務は窮屈になります。

稼ぐ力の指標は1人当たりの年間付加価値額で表せます。損益計算
書の売上総利益(粗利)を総従業員数で割ります。当然、役員も含
みます。パート従業員は3人で正社員一人として計算。

一例)売上総利益1億円÷総従業員数10人=1,000万円が一人当た
り年間付加価値額です。従業員一人当たり1,000万円の粗利を稼い
でいます。10人規模であれば稼ぐ力の実力があります。

労働分配率を40%に設定すれば、従業員の平均年収は400万円
になります。社長が三倍の1200万円に設定すると、
4,000,000円×9人+12,000,000円=48,000,000円(労働分配率48%)

労働分配率が高くなると、財務の自由度がなくなり、窮屈になりま
す。50%ならまだ安全範囲です。規模業種によって異なります。

従業員別粗利を算出して集計し、労働分配率で給与を算定する成果
型賃金制度を作りました。従業員の稼ぐ力、実力アップに役立ちま
すが、稼げない人への対応を誤らないことです。

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2015/03/18

◆社長の平均年齢60歳

社長も高齢化が進んでいる日本。平均年齢は60歳を越えたようで
全体の6割を占めています。そのうち、70歳以上の社長が5人に
1人の割合です。問題は高齢化と共に収益が悪化していること。

社長が60歳以上の企業は年を重ねるごとに収益性が低下していき
ます。これは生理的自然現象でしょう。直近の全国廃業率は7%で
すが、70歳以上の休廃業率は44%に跳ね上がっています。

人口構成から高齢化傾向は仕方ないとしても、収益悪化高齢企業の
存在は日本経済に悪影響を及ぼします。40歳代以下社長の業績の
良さは活力だけでなく、経営力も財務管理能力にも長けています。

全国の平均廃業率6.7%に対し、平均開業率2.7%では、日本経済の
将来はありません。4パーセントずつ企業は減っていきます。収益
性の高い若い経営者にバトンタッチすることが日本を救います。

社長が30代、40代、50代と、年を重ねるごとに収益性が低下
していることはデータが物語っています。その原因は、心身の老化
もありますが、以下のことも考えれば思い当たるはずです。

1.情報化時代のITシステム対応の遅れ
2.平均年齢が高く人件費が経営コストを高め収益性を圧迫
3.時代が変化しているのに、対応できないキャリア人材

◆業績が右肩上がりのときに事業継承

業績の悪い企業を引き受けるお人好しはいません。事業継承できず
業績がますます悪化して70歳を過ぎると悲惨です。打つ手もなく
多額の債務で廃業に追い込まれる最悪事態は避けたいものです。

老後の安定を望むなら、業績がいい50歳代に事業継承プランを立
てて下さい。もし有利子負債を抱え業績が悪いときは、5~10年
計画で辛抱強く立て直せば、事業継承できるはずです。

事業継承対象は身内の世襲でもプロパー社員でも構いません。年齢
は若いほど安心です。大企業とは違います。50歳以上は避けて下
さい。変化に柔軟で、家庭を持つ30歳代が理想でしょう。

最低5年の余裕をもって、事業継承者と、彼をサポートする同世代
の幹部候補を育てることです。次世代イノベーティブプロジェクト
を立ち上げて、彼らに経営の進め方を体験させてください。

やらせてみる、任せてみる、自律自発の率先力を磨かせ、経営力を
身に着けたことを確信したら引き継いでください。スマートに全て
を渡すことが大切です。スッキリ財務を心掛けてください。

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2015/03/18

◆ブレークスルーへのロジカルシンキング(論理思考)

経営管理者の資質によって経営方針は大きく分かれます。私たちは
激動の時代を乗り越えるために、攻めるか、守るか、じっと我慢し
て耐えるか。改めて考え直す必要があると思います。

資質を大きく三つに分けて考えてみましょう。

1. ネガティブ資質
行く手にはだかる壁を前に、未知へのリスクが先に立ち、何も考え
ず手も打たず、不可能、無理、出来ないと決めつけて、止まってい
るか引き返す資質。危険なこと、悪いことばかりを並べ立て、安易
で楽な道へ逃げる。新たなモノゴトには徹底的に消極的になり石橋
を叩いても渡れない。資金力の乏しい弱者の多勢は、烏合の衆の溜
まり場であり、求める安易な逃げ場所はレッドオーシャン化し骨肉
の苦戦を強いられる。(ちょっと挑発的に書いています)

2. ポジティブ資質
行く手にはだかる壁を見上げて、フロンティアのチャレンジ魂が湧
き上がり、壁の上の新たなワクワク夢世界を想像し、順風満帆を信
じてよじ登る。危険や困難は人生の試練と受け止め、前向き率先を
信条とする。一勝九敗は経営の常と考え、失敗にへこたれない精神
力を有する。楽天主義、ロマン派、性善説の性格は、憎めない共感
を呼ぶが、財務音痴であると、実に危なっかしい存在でもある。

3. ブレイクスルー資質
行く手にはだかる壁を前に、向こう側のブルーオーシャンに到達す
る方法を、登るより、突き破る新たなアイデアでイノベーションに
挑戦し価値を創造する。不可能を可能にする方策を論理思考で深耕
し、熟慮で選択と集中を図る。粘り強い根気、根性、執念で、跳ね
返されてもまた前へ繰り返し突き進む。深掘りしてブレークスルー
するハードワークに生きがいを感じている。

◆BSCが論理思考の基本

経営の指標は財務だけで表されるのが一般的です。経営計画の目標
も、売上高、粗利、営業利益、経常利益を掲げています。ところが
その目標値を達成させる方策が論理思考されていないことが多い。

BSC(バランススコアカード)は経営を四つの視点で整理し論理
思考し、フレームワークの四段活用で仮説のストーリーを組み立て
ます。新規売上高を確保する戦略ストーリーを書いてみましょう。

1. 人材の視点 マーケティングスキルアップによる販促計画立案
2. 業務の視点 広告販促活動により精度の高い見込客を確保
3. 顧客の視点 人的訪問提案営業により見込客の新規顧客化
4. 財務の視点 新規顧客数×客単価×リピート率=新規売上高

各視点での成功要因をストーリー化したら、機能別、部門別の重要
項目を具体的に戦略マップに表し、作戦行動のアクションプランに
重要実施項目と成果指標を数値化して行動を目標管理します。

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2015/03/11

◆イノベーションへのチャレンジ風土

安定は居心地良い。変革は煩わしい。だから今のままで停滞すると
周りの変化に気がつかず、事業は陳腐化し業績は悪化する。世の中
の栄枯盛衰は、勝者の安定慢心を許さない条理でしょう。

人間の一生は半世紀で20歳も伸びている。時代の変化は輪をかけ
て目まぐるしい。10年ひと昔を事業に当てはめれば、寿命は頑張
ってもせいぜい20年でこと切れる。だから変革は必然です。

30歳で創業すると、順調に行っても50歳で寿命になる。一生は
90年。2回は変革による成功を収めないと安住の地に行きつかな
い。人生は辛いか、興味深いか、チャレンジを楽しみたい。

イノベーションを企業風土として根づかせたい。チャレンジ精神の
旺盛な人材を育てたい。失敗や挫折にへこたれない粘り強い根気と
執念で未来を拓く高いモチベーションを持続させたい。

イノベーションは大きく3つに分類できる。現業をカイゼン活動で
活性化する持続的イノベーション。市場の新たなウオンツに挑戦す
る破壊的イノベーション。仕組みを変える経営的イノベーション。

私がコンサルティングで力を入れているのがバランススコアカード
を導入して業務改革に挑む、経営的イノベーションです。ほとんど
の企業が初耳の経営手法ですが、説明すると興味津々。

◆経営革新、業務改革への期待と抵抗

古い経営手法では、はだかる壁をブレークスルーできない。壁を前
に悩んで時をムダに過ごすより、経営手法を刷新する。短くて1年
長くて3年我慢すれば、イノベーション風土が実ってきます。

生産性の悪い企業が増えました。何が悪いのか? 全てはドンブリ
勘定に由来しています。適切な指標とするデータがないから業務を
分析できない。問題解決とは、結果がデータで判断できること。

業務改革の基本は、インプットからアウトプットまで、業務を数値
で見える化すること。独りで業務を囲い隠す見えない化がボトルネ
ックになっています。業務の共有見える化が改革を推進します。

業務改革の成否は抵抗勢力にかかっています。変化を喜ばない安定
志向は、経験豊かなキャリアに多いため、業務改革がとん挫する例
は多いようです。大手企業のジレンマもそこに潜んでいます。

彼らの心理は変化への不安です。過去の経験に頼るあまり、新たな
変化を望みません。変化への対応力に自信がなくなると不安が増大
します。変化を強要すると、あっさり辞表が出てきます。

業務改革は必然ですが、焦らないことです。十人十色の性格に合わ
せて、徹底的に議論を深めることです。面従腹背の抵抗勢力を見抜
かないと、危険なダブルスタンダードを副産します。

◆バランススコアカードを導入する業務改革
たったA四版三枚で、管理者を育て、社員を育て、経営成果を出す
シンプルな新時代の経営手法を、一気、短期に修得して下さい。

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2015/03/04

情報化時代の弊害

情報過多が業務効率を著しく低下させています。机上に貯まる資料
の山。止めどなくPCに送られてくるメール便と添付資料。頻繁に
掛かってくる携帯電話とメール。セッカチな請求にアップアップ。

生真面目な性格は、その都度対応に追われ、業務効率を落としてい
ることに気づかない。真面目な人ほどドツボにはまります。要領の
良さは、現代社会人の処世術です。考え直すべきです。

情報の要不要の決断、対処、整理。この三つのフレームワークで要
領よく処理したいものです。2:8の法則に従えば、8割は不要な
情報であり、廃棄対象です。廃棄決断力が求められます。

山の資料は3つに区分して処理します。まずは捨てる決断でゴミ箱
行きが8割。私の場合は9割以上です。次は返事の必要な資料処理
で朝か夕方にまとめて処理します。当日処理が原則です。

残りの一つは保存ファイリングです。社内のサーバー共有ホルダー
にあるものは外します。基本的には個人資料の廃止です。データは
すべて会社管理で見える化すれば、個人資料は存在しません。

PCメールは即対応しない。急ぎの場合のホウレンソーツールは電
話です。メール対応は1日2回の習慣化が大切です。出勤時と退社
前の処理を習慣化して下さい。

携帯電話は即出ない。相手に失礼ではありません。例えば運転中に
電話はできません。相手を確認してから判断して下さい。今すぐに
連絡するか、時間を決めて、まとめて電話タイムを設定するか。

◆資料は一枚で完結させる習慣

報告書、提案書、企画書は、一枚で作ることが大原則です。枚数を
増やせば喜ばれると勘違いしている人は多い。分厚い資料は作成に
時間を費やすどころか、読み手の数だけ時間を浪費します。

どんな資料も基本はA四版一枚で完結させてください。ひと目で見
渡せ理解できる資料づくりが経営コストを低減させます。一枚理解
を標準化し、詳細資料が必要なら別添資料を加えてください。

社内文書は一枚化標準書式を作り徹底して下さい。経営コストの低
減は人件費にかかっています。ムダな資料を追放しましょう。

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2015/02/25

今回は新しい経営手法をご案内します。
経営コンサルタントとして企業を客観的に分析すると、ムダの多さ
に驚きます。ムダな業務を排除するだけで、十分な利益を確保でき
ます。詳しくは更新ホームページをご覧ください。

強い会社を創る、ワン、トゥー、スリー
◆経営の真髄「たった三枚の指針書」

 経営の真価は、経営計画目標と社員活動の一致にある。
経営の目的は、定めた期限に経営計画目標を達成すること。
経営管理者は、社員活動の目標管理フォローアップに専念する。

捨てることから始まる「選択と集中」

 経営活動の最大公約数を求めれば、A四版たった三枚に集約できる。
多くを期待せず、求めず、確実に実行できる効果的なことに集中し、
深耕すれば、社員も理解納得し、やる気が成果につながる。

 3S(simple, slim, speedy)
シンプルに整理し、スリムにムダを排せば、スピードは加速する。

A四版で見渡せ、みんなが理解できる賢い三枚の指針書の作成
新しいバランススコアカード論理思考で賢い経営力を身に着ける。
※エクセルver.2013ファイル

1.中期三カ年経営計画書
あるべき姿を分かりやすく具体的に表し、近未来目標を設定する
策定内容/経営理念・ビジョン・戦略方針・中期計画・ドメイン
1.三枚の指針書概要解説
2.自動作成手順 作成指導と数値目標の選択式自動計算
3.自動作成書式 A4版エクセルファイル
4.手動作成書式 カスタマイズ可
5.作成サンプル

2.BSC戦略マップ
経営計画目標を実現に導く戦略を、4つのフレームで明確にする
1.バランススコアカード(Balanced scorecard)戦略経営概論解説
仮説の桶屋ストーリー演習とPMマトリクス戦略解説
2.戦略マップの作り方 成功要因と機能別方策の考え方
3.選択と集中戦略 書き込みサンプル
4.戦略マップサンプル集

3.アクションプラン
戦略マップから個別作戦行動を具体化し、計画目標を達成させる
月次PDW(Plan,Do,Watch)循環を促す目標管理システム
1.生産性向上のための業務の三分類・職種別重要実施業務解説
2.月次報告アクションプラン書式
3.作成サンプル

4.付属資料
現在の立ち位置を明確にする分析
1.ABC&PPM分析
2.SWОT分析
3.問題発見分析
4.日報・週報 業務日誌の自己管理が向上心の源泉

バランススコアカードは新しい経営手法です。経営を4つの視点で
分かりやすく整理し、論理思考で解決の道を導き出し、やりがいの
ある社員活動につなげます。賢い社員を育てる達人の手法です。

従前のスゴ6戦略を単純化したもので、多くの中小企業で導入し、
成果を上げています。最近では大手企業のオファーがあり業務改革
に用いられています。これからも強いニッポン企業を応援します。

本書は長山塾の「三枚の指針書」作成研修用に用意しました。
受講者には無料配布していますが、多忙な経営陣のご要望があれば
販売いたします。販売価格 30,000円(税別)
↓↓↓
http://www.s-naga.jp/

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2015/02/18

◆営業活動は戦略プロセスの一手段に過ぎない

営業活動を「営業戦略」と唱えるから手詰まりになり、効果がなく
頓挫します。戦略論理思考では、目的は収益性の向上。目標は顧客
の創造。手段は販売促進活動。営業活動はその中のひとつです。

目的、目標、手段を論理思考する人は攻め上手になれます。論理的
な思考法はフレームワークとプロセスで深掘りが可能になり、より
具体化することで効果的な経営活動が見える化できます。

戦略活動の一例をたどってみましょう。

◆目的、目標、手段を定義する

目的/A製品の市場創出マーケティング戦略
売上高1億円、粗利率50%、5千万円
目標/顧客の創造
既存&新規顧客受注数1,000件(受注単価10万円)
手段/製品の顧客満足度向上策と販売促進計画活動
販売促進費(比率10%)を投入し期限3年で目的を達成する

3つのフレームでは数値で具体化しています。売上高、原価率、客
単価、受注件数に加え、販売促進予算も計上しています。これを忘
れる行為は作戦行動が伴いません。売るための必須予算です。

バランススコアカード(BSC)では以下のように具体化します。

◆目的(財務の視点)
売上高 1年度2千万円、2年度4千万円、三年度4千万円
粗利額 1年度1千万円、2年度2千万円、三年度2千万円
販促費 1年度5百万円、2年度3百万円、三年度2百万円

◆目標(顧客の視点)
平均単価10万円で、1,000件の受注目標
既存客 1年度150件、2年度300件、三年度250件
新規客 1年度 50件、2年度100件、三年度150件

◆手段(業務プロセスの視点)
準備 第1四半期 製品差別化と販売促進ツールと計画書の作成
販促 1.ダイレクトメールの郵送 年2回
2.展示会への出展 年3回
3.インターネットキャンペーンの実施 毎月1回
4.業界誌への広告 年2回
分析 見込み客の分析とターゲティングリストの更新
営業 人的訪問提案営業 成約率20%で5,000社接触/3年

◆知恵(人材と変革の視点)
研修 毎月一回プレゼン&クロージング営業研修
管理 月次目標管理会議で問題解決フォローアップPDS循環

現代経営はフレームワークで深耕しないと問題は解決できません。
上の考え方は一例ですが、長山塾でバランススコアカードを身に着
けてください。2日間で修得できます。

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2015/02/11

◆もう一歩踏み込んでブレークスルー

「勝負は価格だけなんです」。事業は設備投資対象なので、顧客は
いつも相見積もりで発注先を選定しています、とのこと。先週の相
談相手は、見積書の数字だけに解答を求めていました。

公共事業の入札ならいざ知らず、顧客は民間企業です。見積書でも
打つ手はいろいろあります。ライバルより価格を下回る勝負を続け
ていると、そのうちに採算割れし、行き詰ることは明らかです。

コモディティ化がキーワードの時代です。価格競争だけに巻き込ま
れたら弱者に勝機はありません。解決策は差別化にあります。経営
をBSCの四つの視点でフレームワークし、考察して下さい。

BSCは以下のサイトを参照して下さい。
http://www.s-naga.jp/k-page/14bsc.html

◆財務の視点考察

仕様書が示されていても、設備は手段であり、顧客の目的は生産性
の向上にあります。見積書一通だけの価格勝負ではなく、差別化の
松竹梅で三通りぐらいは準備したいものです。

設備といっても企画設計は外注費にもなります。設備の稼働運転に
は設置後の指導も必要ですが、研修費として別の経費科目で分ける
ことも可能です。毎月の保守契約で別勘定も考えられます。

設備投資は減価償却対象です。モノとサービスを切り離すことで節
税を提案できます。リース会社とのタイアップで一般経費化も可能
になるし、プラスサービスでリピート率も高められます。

◆顧客の視点考察

現代経営はドンブリ勘定を嫌います。顧客の目も厳しくなっていま
す。納得できる詳細な積算と、理解できる企画提案書も添付すべき
かも知れません。プレゼン能力も成約の条件になります。

人脈は成約の重要条件のひとつ。政治力とも言われますが、顧客に
よっては、決まっている指名先の見積が適正であるかの判断材料に
相見積もりを求める場合もあります。ビジネスパーソンは誰か。

決裁権を握るキーパーソンとの人脈作りは営業センス。親密度を高
める策は、時代が変わろうと常道です。モノゴトをスピーディに進
めるためにも、顧客関係は人間関係を良好にすべきです。

◆業務プロセスの視点考察

生産性向上は顧客も自社も同一の経営課題です。顧客価値を獲得す
るために、品質を高め、生産性を上げ、納期を早め、納得する価格
で提供するためのカイゼン活動はいつでも続けられています。

現場主義に徹して下さい。顧客の設備設置現場を知っていますか。
原点は現場にあり。見積依頼があれば、まずは現場を見せて頂くこ
とです。現場の声を聴くことでヒントが見えてきます。

「そんなことは言えません」。こういう解答ではブレークスルーは
できません。可能性にチャレンジすることで新たな道が開けます。

◆人材と変革の視点考察

ブレークスルーへの意識改革。答えは壁の前の安易なひとつではあ
りません。安易な道を選ぶ人に成功は微笑みません。壁にいくつも
の穴を開ける努力で、壁の向こうの成果が勝ち取れます。

BSCは忘れていた経営の論理思考を改めて教えてくれます。
経営者自らが学んで頂きたい。そして、管理者を育ててください。

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2015/02/04

◆日本人は裕福なのか貧困なのか

2013年の世界の平均年収、国別ランキングのデータを、ネットから
拾ってみました。単位はUS$です。

 1位 スイス    91,574
2位 ノルウェー  81,685
3位 ルクセンブルグ73,153
4位 オーストラリア73,035
10位 アメリカ   55,708
14位 イギリス   49,231
15位 ドイツ    46,960
16位 フランス   46,918
17位 日本     40,798
21位 韓国     30,099
30位 メキシコ    9,089

バブル絶頂期にトップに躍り出た日本では、国民すべて中流家庭を
謳歌できましたが、栄枯盛衰は世の常であり、最近では上のデータ
に甘んじています。円安の現在はさらに下がっているはずです。

アジアではトップの座にありますが、円安と韓国ウォン高の為替を
考慮すると、今年はひっくり返るかも知れません。それが良いか悪
いかは判りませんが、経済では好反転する期待が持てます。

アジアの南に接するオーストラリアが4位。日本との時差も少なく
互いの観光客も多い良好な関係です。出稼ぎ対象として若者が挑戦
したい英語圏国です。どんどん海外にチャレンジして下さい。

◆国会でも問題になっている貧富の格差

フランスの経済学者、トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」が
話題になっています。富裕層が益々富を蓄積する格差社会に警鐘を
鳴らしています。19世紀に逆戻りする危険性。

所得水準と貧富の格差の相関図。ネットから拾ってみました。人口
3千万人以上で高所得国を対象にデータを拾ってみました。上位所
得10%を下位所得10%で割った倍率で表しています。2010年

5~10倍
ドイツ、韓国、日本、ポーランド、フランス、カナダ
10~20倍
スペイン、イラン、ロシア、イタリア、英国、トルコ、米国
20倍以上
メキシコ、アルゼンチン、南アフリカ、コロンビア、ブラジル

低倍率ではドイツ(6.9)、韓国(7.8)、日本(8.4)、フランス(9.1)
高倍率ではブラジル(55.8)、コロンビア(51.1)、南アフリカ(44.2)
注目国ではアメリカ(15.9)、中国(17.9)

上位1割と下位1割の格差は、資本主義社会では10倍は許容範囲
だと考えると、日本は優等国です。高所得年収が2千万円、低所得
年収が200万円なら頷ける範囲です。

格差の本質は、底辺にいる不運な貧困層の社会復帰できる社会保障
てすが、もっと大切なことは社会人になる若者の初任給でしょう。
新社会人の正規雇用と所得水準向上が企業に与えられた課題です。

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2015/01/28

◆BSC桶屋ストーリーで成功法を描く

ご存知の通り「風が吹けば桶屋が儲かる」落語のストーリーは、風
が吹くと土埃で盲目が増える。盲目の人は三味線を弾くので猫の革
が要る。猫を捕ると鼠がはびこり桶をかじるので桶屋が儲かる。

これをBSC(バランススコアカード)の四つの視点、人材、業務
顧客、財務のフレームワークでストーリーを描きます。例えば営業
の成功法ストーリーを作ってみます。

人材 営業が提案プレゼンテーションスキルを磨けば、
業務 訪問営業で先方の理解を深めることができ、
顧客 納得して契約が成立すれば、
財務 売上をアップすることができる

このストーリーを成功要因重要項目と成果指標でビジネスモデルを
作ります。四つの視点を逆向きにして、以下のよう作ります。

視点 成功要因重要項目      成果指標
財務 毎月の営業売上高目標    500万円
顧客 毎月の顧客からの受注件数   10件
業務 毎月の顧客訪問数       50回
人材 毎月の営業プレゼン研修受講   4回

この決め事が成功への論理思考の基本であり、目標達成への道のり
を築き、人材育成につながります。成果指標は管理者と営業の面談
で、高からず低からずを調整します。

◆BSCフォローアップで営業力向上

BSC(バランススコアカード)では目標活動の不具合を、四つの
視点で論理思考し、フォローアップしながら解決策を求め、目標達
成へ導いていきます。このプロセスが管理者も育てます。

目標未達の管理者フォローアップシナリオを作ります。

財務・売上未達の場合(顧客・受注件数達成時)
客単価が低い→値下げ圧力に妥協、競合他社との競争
特徴説明、上クラスやオプション提案、支払条件、ノベルティ

顧客・受注件数未達の場合(業務・顧客訪問数達成時)
成約率が低い→話法、説得法、クロージング技法、センス
プレゼンリファーサル実施、研修の補習、客先同行指導

業務・顧客訪問数未達の場合(人材・営業研修受講達成時)
接触率が低い→接触の得手不得手、モチベーション、外出機会少
接触数は契約数の分母を認識、外出を阻む業務内容、日報の精査

業務・営業プレゼン研修受講未達の場合
受講数が少ない→好き嫌い、研修の優先度、阻害する他業務
向上心、キャリアアップ、スキルとセンスの見極め

管理者を育て、社員を育てるBSCフォローアップ循環です。組織
にはいろんな職種の人材がいます。その職種ごとにシナリオを作っ
て、スペシャリストを育てたい。経営者の願いでしょう。

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2015/01/21

◆家業から企業へ

社員は育っていますか。会社の収益に貢献していますか。トップの
一人力の稼ぎに頼っている会社は、所詮、家業の域であり、大きく
成長できません。トップの分身を育てることが企業への道です。

ワンマン経営は十人規模で成長が止まる。数十人規模に成長させる
壁は厚い。ブレークスルーのキーワードはワンマン経営からの脱皮
です。いわゆる「家業から企業」への転換です。

企業とは、組織が自律機能することです。社長の分身が組織の要に
立ち、責任と権限の委譲により自律管理できている状態です。この
管理者の数に比例して企業は成長を持続させていきます。

1億円規模で成長が止まり、3億、5億の壁を前に迷走する経営者
は決まって家業の域にあります。自分の権限を少しずつ分身に移譲
して、管理者としてのスキルを磨かせ、育てることが使命です。

企業としての経営者の最大任務は管理者の育成です。

◆分身を育てる目標管理組織

トップはビジョンを掲げ、目標を明らかにする。5人から10人で
チームを編成し、リーダーを指名する。リーダーはチームを統率し
目標に向けた作戦行動を促し、定点観測で目標管理する。

リーダーは目標管理の問題解決でリーダーシップ能力を培っていき
ます。トップはリーダーの進捗報告を精査してフォローします。常
に問題は浮上しますが、一緒に考えるプロセスが極めて大切です。

現代はカンタンに答えが出ません。数値目標の達成が安易でないこ
とは周知の通りです。過去の成功に頼らず、過去とキッパリ訣別し
て、新たな論理思考で問題解決を深掘りすることです。

バランススコアカード(BSC)は論理思考の問題解決には、有能
な経営手法です。BSCを基盤とした経営計画、戦略マップ、アク
ションプランの三枚で、管理者を育成してください。

小さな目標では経営は変わりません。少なくとも収益30%アップ
を目標にしてください。中長期目標は一桁上の数字を目指し、社員
のやる気を引き出すモチベーションを高める手を打ってください。



2015/01/14

◆PDCA、PDSからPDWへ

PDCAは、ISОの品質管理で用いられるようになって企業に浸
透してきました。デミングサイクルとも言われ、カイゼンプロセス
を四つのフレームで循環させています。

P(plan) 目標とする業務計画の作成
D(do)  計画に沿って業務を実行する
C(check) 実行した業務を目標と比べて評価する
A(act)  評価の問題点を見つけ解決策を出す

実際にはC、Aのプロセスが十分機能しない現場が多い。論理思考
が未熟であったり、業務に追われて対策が先延ばしされたり等など
目標管理の循環が滞ったり疎かにされています。

一年経っても一巡しないと計画は水泡に帰します。PDCAサイク
ルは最低でも四半期一巡を目指したい。理想は月次一巡です。そこ
で考えたのが四プロセスを三プロセスに短縮化する案です。

PDSも同様なマネジメントサイクルです。組織の業務活動プロセ
スを三つに区切って分析評価します。

P(plan) 計画 業務計画の立案
D(do)  実施 計画に沿った活動
S(see)  評価 目標との比較分析

シンプルに構築すると、私的にはPDSのほうがしっくりしますが
S(see)は語感的に弱く感じます。see(見る)より、watch(観察)が
適切でしょう。しかもwatchには時計の意味も含みます。

◆PDW目標管理サイクル

戦略経営におけるミッションは、目的、期限、達成指標の三つの具
体化です。目的は向上収益性○○。期限は○○。ゴール成果指標は
○○。厳格に数値で示してマネジメントサイクルを回します。

P(plan) 計画 目的、期限、ゴール指標の具体的計画の立案
D(do)  実施 計画に沿った日々の活動と業務遂行報告
W(watch) 分析 月次カイゼン活動を循環させる目標管理

長山式業務改革はPDWマネジメントサイクルの月次循環を目指し
持続成長組織を育てていきます。目的は常に収益性30%向上。

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2015/01/07

◆ステークホルダー

経営管理者のミッションは企業の持続成長にありますが、変化の激
しい経済環境は逆に企業寿命を短くしています。現在では平均寿命
は20年とも言われます。自分の一生も持たない現実です。

30歳で起業しても、50歳で寿命を終えては残りの人生が悩まし
くなります。私は年男で72歳になりますが、元気でピンピンして
います。少なくとも一代40年は持続成長させたいものです。

経営コンサルタントとして多くの企業を見てきましたが、実態は近
視眼が多く、遠視眼的な超長期展望に欠けているようです。顕著な
例が事業継承計画のない企業に見られます。

どの企業も中期経営計画を立てていますが、10年毎の節目を設定
して、事業継承までの長期ビジョンを記しておくべきではないかと
考えます。トップはステークホルダーを無視してはいけません。

◆三方よし経営

近江商人の経営哲学に「三方よし」があります。売り手の都合だけ
で商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商い
を通じて地域社会の発展に貢献しなければならない。

この三方よしの理念を、身近なステークホルダーで3分類します。
顧客よし 顧客満足度(品質、納期、価格、信用)
社員よし 社員満足度(評価、給料、ワークライフバランス)
会社よし 会社満足度(ヒト、モノ、カネの健全経営資源)

ステークホルダーとは利害関係者です。顧客第一主義は当然なこと
ですが、社員満足度を高めない限り、長期にわたる持続成長は困難
です。社員を育て、管理者を育てることが長寿の条件です。

新たな経営計画は、三方よしの戦略を盛り込んで作って頂きたい。
会社寄りの一方的なものでなく、顧客にも社員にも理解される経営
計画にしてください。

バランススコアカード戦略経営は、財務の視点、顧客の視点、業務
プロセスの視点、人材と変革の視点の4つの指標で健全な持続経営
を目指します。

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2014/12/31

◆三年先を見据えて

現業だけに追われていると、時代の変化に乗り遅れます。経営は常
に二本立て。今の事業と未来の事業。今の事業で稼ぎながら、次の
事業を準備する。この繰り返しが持続成長の条件でしょう。

先回はコモディティ化による価格競争を脱するための差別化戦略を
お話ししましたが、これは今の事業展開戦略です。その先を見据え
て、新製品、新事業の創出に知恵を絞ることが企業存続の使命。

変革を意味するイノベーションの目的は、新たな価値の創造です。
言うは易し、行うは難し。トコトン前向きに熱中しない限り、簡単
にはイノベーションは微笑まないし興らない。だから面白い。

組織に、自発的、能動的に意識改革が図れないとイノベーションの
芽は育ちません。得てして中小企業はトップ能力だけに頼っていま
すが、その時代は過去になりました。今必要なことは集合知です。

組織を構成する人材に知識を蓄積する場を設け、現場を源泉とする
アイデアを集め、議論の場でイノベーションの芽を育む。人を育て
て企業は成長します。組織をアイデアの泉にしてください。

◆PMクラスター展開のマーケティング戦略

現業のP(Product)製品と、M(Market)市場を核として、事業拡大
を図るマーケティング戦略です。全く新しい事業多角化戦略よりは
リスクが小さく成功に導きやすい短中期戦略になります。

真ん中に現業を描き、左にPの展開領域、右にMの展開領域を設け
真ん中から放射状に線で結びながらアイデアを書き込んで下さい。
クラスターとはブドウの房の意味です。房でいっぱいにします。

マーケティングの二つの要素、何(P)を、誰(M)に、の房を実らせて
ください。時系列で短期の房は真ん中寄りに、中期の房は縁のほう
に寄せて整理し、夢ある戦略マップを仕上げてください。

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2014/12/24

◆一年の計は、差別化戦略を図る

コモディティ化。汎用化、均質化の意で、成熟した市場では、製品
や技術、サービスはドングリの背比べ状態で、甲乙つけずらくなり
結果として価格破壊を招く値下げ競争が繰り返されています。

薄利で採算が取れない中小企業はかなり多い。どうすれば?の解答
は、マイケル・ポーターが提唱した差別化戦略です。市場のシェア
を争奪している競合より、強みを差別化して優位に立つ。

「強みは何もない」と嘆かないでください。ドングリの背比べは競
合も同じ立場です。普通のことを強みに言い換えるだけで差別化は
可能です。言わないより言ったほうが勝つ場合もあります。

ある電化製品を例えれば、
競合の宣伝文 電気代は一日約10円です。
自社の宣伝文 電気代は一日わずか10円です。

保証期間はいずれも3年ですが、競合は当たり前のことはセールス
トークに使っていません。だったら自社は「わが社は信頼の3年間
保証でアフターサービスは万全です」を歌い文句にします。

これは忘れがちな一例です。差別化戦略はマーケティングスキルを
フレームワークで論理思考するだけで、いろんな戦術や作戦が可能
になります。SWОTで普通以上の強みを洗い出してみましょう。

◆ドメインの三軸フレームで差別化する

事業ドメインは以下の三軸で定義付けしています。
顧客軸 商圏の設定。市場の細分化最適化(セグメント)
機能軸 製商品サービスの機能、品質、価格、納期など
技術軸 技術革新、業務改革、特許、ビジネスモデルなど

差別化戦略の目的はシェアアップです。目標は競合優位です。成果
は売上高の向上です。商圏内の競合より差別化で優位に立ち、地域
ナンバーワンを目指します。

競合を特定します。強すぎず弱すぎない敵、目の上のタンコブは誰
ですか。ドメインの三軸で項目細目を設定し自社との比較表を作成
します。売上規模や組織力も加えて勝ち目を洗い出してください。

同等なら勝ち目があります。ちょっとした工夫で差別化する。執着
することです。あとは攻め方ひとつです。プロモーション、つまり
販売促進に力を入れてください。多少の予算が勝つコツです。

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2014/12/17

◆ガソリン価格乱高下の行方

どこまで上がるか、心配していたガソリン価格は170円台をピーク
に現在では150円台に落ちてきました。30年前の60円台まで下がる
ことはないでしょうが、10年前の100円台はあり得る価格です。

先進国のガソリン消費量は2000年をピークに減少しています。燃費
効率が良くなっていること、若者のクルマ離れ、電気自動車の台頭
に加え、水素自動車の出現で更に需要は減る見込みです。

需要が減れば価格は下がる。本家本元の原油は下落に歯止めがかか
らない。OPECの足並みが揃わず、シェールオイルとの我慢比べ
に勝算ある金持ちサウジアラビアやUAEは減産に応じません。

方やイランやベネズエラは、減産して原油価格下落に歯止めをかけ
ないと自国の財政が窮屈になります。日本としてはもっと下落して
ほしい。そもそも原油はOPECの操作で高くなりすぎました。

ドバイの1バレル当たり原油価格の推移は下記の通り。
2002年  23.73 単位:USドル
2004年  33.46
2006年  61.43
2008年  93.78 ※リーマンショック
2010年  78.06
2012年 108.92

わずか10年で4.6倍に跳ね上がりました。産油国の儲け過ぎが先進
国の経済低迷を招いたのは事実でしょう。インフラの根源は電力で
す。生活、生産、輸送、通信の至る所で電力は必須の条件です。

その恩恵を被っている先進国ほど、原油高騰は痛手です。今の下落
は円安の日本にとっては大歓迎。原発停止の代替エネルギーはまだ
まだ化石燃料頼りです。太陽光や風力効果は長期戦略です。

先週末の原油価格(WTI)は60USドルを割りました。
円安を吸収して余りある値です。来年は期待できます。諸悪の根源
原油価格が下落基調であれば、日本経済にとってはチャンスです。

原発事故以来、日本のエネルギー事情は足元を見透かされ、高価な
原油や天然ガスを購入してきましたが、これからは国と企業の連携
で多角的エネルギー政策に知恵を絞って欲しい。

シェールオイルの採算分岐点80ドルを下げる技術革新とは。ロシア
の窮状につけ入るサハリン天然ガス供給ルートの確保。近海に眠る
メタンハイドレートの国内資源開発。地震国の地熱エネルギー。

エネルギー源が多角化すれば、OPECや金融のマネーゲームに左
右されない安定確保が可能になるはずです。中東に偏らないエネル
ギー源が日本の持続成長の最重要課題でしょう。

来年は、そのチャンスがやって来ます。
新年に向けて、新たな戦略を練り、打って出ましょう。
経営改革、業務改革で持続成長の道を拓く長山塾
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2014/12/10

戦略経営には順序があります。今回から三回に渡り、やるべき定石
戦略について語ってみます。新たな年に夢を馳せてください。まず
財務健全化、二番目に差別化、最後はマーケティングで締めます。

◆財務健全化戦略「ドンブリ勘定では先がない」

三年連続減収減益。この状態は危険信号。経営者資質なしの烙印が
押されます。更に債務超過なら、即刻、社長退陣が最良策です。有
能な人と交代するか、譲渡するか、廃業の三者択一になります。

優柔不断に先延ばしすると命取りになります。ドンブリ勘定を改め
月次黒字化が可能か計算して下さい。カンタンな計算式です。営業
利益をいくらにできるか。引き算だけで確認できます。

「入りより出を制す」。収入-支出=余り(黒字)
売上高-(変動費+固定費+支払利息+借金返済)=余り(黒字)

変動費は外注仕入。売上高-変動費=売上総利益(粗利)
変動費を下げる策は、外注仕入の値下げ交渉、支払期日の延長、内
製化、滞留在庫の削減適正化、労務費の見直し低減など。

営業利益は本業の利益。売上総利益-固定費=営業利益
固定費の削減に執着して下さい。業況が悪化していると、役員報酬
や社員給与の人件費率が高くなっています。報酬給与カットか人員
削減の手術を避けては通れません。全ての経費の徹底削減です。

営業利益-支払利息-借金返済=余り(フリーキャッシュフロー)
支払利息は損益計算書の営業外損失に計上されています。借金返済
は貸借対照表の負債の部、短期長期借入金に計上されています。営
業利益で借金と利息が払える余力があれば救われます。

◆安易に借金しない我慢が財務を健全にする

若い経営者は個人から借金します。これは止めるべき。逆借金を頼
まれたら断れますか。友達や兄弟の関係を失くす危険があります。
特に保証人にはならないこと。身を滅ぼす危険大です。

個人の借金で安全なのは親ぐらいでしょう。借金は基本、金融機関
だけに限定してください。ただし、運転資金の借金は曲者で、慣れ
ると大変。貸借対照表の短期長期借入金が膨張しています。

設備投資の借金は、負債の部の借入金と資本の部の固定資産で相殺
される健全な関係になりますが、運転資金は損益計算書の経費に使
われ、流動資産の預貯金額は知らないうちに減っていきます。

運転資金の借入は、減らす努力をして下さい。前述のようにフリー
キャッシュフローが出せる体質になれば、資金繰りに悩むこともあ
りません。単年度黒字化体質が持続経営の条件です。

複数の金融機関から借金をしている場合、今後気になることは金融
機関の統廃合です。ふたつの借入先が統合されたとき、借入限度の
切り下げを要求されることも考えられます。

次回は、財務健全化後の差別化戦略をお話します。

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2014/12/03

中高年とか老年とか、歳を重ねてくると、この曖昧な定義が気にな
ります。厚生労働省の健康日本21では、幼年期0~5歳、少年期
6~14歳、青年期15~30歳、壮年期31~44歳、中年期4
5~64歳、高年期65歳以上と区分されています。

前述の区分から、中高年は45歳以上を乱暴にもひとまとめにして
いるアバウトな区分です。人生の折り返し点で区切る考え方かも知
れませんが、中年と高年は分けて考えたいものです。

さすがに老年期の区分は消えましたが「老いる」言い回しは気に入
りません。自治体は勝手に老人手帳を送りつけてきますが、これも
高年手帳や元気手帳に改めて欲しい。老人呼ばわりは気分が悪い。

◆高年市場を見直す

昔と違い、今の高年は元気です。中年は働き盛りで多忙で支出が多
くゆとりがありませんが、高年は持ち家の負債も完済し貯蓄も多く
毎日サンデーのたっぷり時間を趣味に充て、楽しんでいます。

定年60歳で区切ると、高年市場の保有資産は全体の2/3を占め
ています。貯蓄など金融資産1,400兆円、土地など非金融資産1,000
兆円を合わせて2,400兆円のうち1,600兆円を保有しています。

高年市場は得てしてネガティブ志向が強く、医療や介護のビジネス
発想に向かいがちですが、ポジティブ志向で、元気、健康、美容を
テーマに、楽しい生きがい市場を創出すべきでしょう。

◆高年向け楽しい生きがいビジネス

高年者の意識調査では、8割以上が趣味の充実を挙げています。最
も多いのが旅行で、次いで健康目的のウオーキングやサイクリング
写真、カラオケなど。自宅では工作、読書、菜園も人気です。

団塊世代が60才代後半に移ってきました。多彩なライフスタイル
の持ち主たちです。第二の人生で創業する人もいます。自営や嘱託
で仕事を楽しむ人もいます。元気高年は立派な労働力市場です。

60歳以上人口4千万人のうち、2千万人は健康労働力対象です。
三勤四休、一勤5時間、一週15時間、一ヶ月60時間の労働市場
の提供もビジネスです。月給6~10万円のお仕事創出です。

労働力不足の今、高年労働力は侮れません。高年者の新たな所得を
創り出せば、彼らの余禄は楽しい趣味に消費されます。仕事も趣味
も高年の生きがいであり、モチベーションが健康を維持します。

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2014/11/26

衆議院解散で与野党の論戦が活発になっています。戦略的な目的は
当選数であり、目標は票田です。それを獲得する手段として公約を
前面に他党との差別化を図って国民を説得します。

野党はアベノミクスの経済政策を失敗と断言し、GDPと国民所得
の低下をデータで示しています。このデータが曲者で、丸め込んだ
値を信じる癖は判断を誤ります。確かに国民所得は減っています。

しかし、労働者所得は総数で判断できるものではありません。定年
退職しても嘱託で働けば所得は低くて当然です。高齢化社会が進め
ば低所得者は増えます。2014年の労働力データがあります。

労働力人口 7784万人 ※15~64歳
正社員   3327万人
非正規社員 1970万人

働かない、または働けない人が約2500万人もいます。潜在労働力は
まだ余裕があります。問題は非正規社員です。非正規社員を分類す
ると以下のような興味深い数値になります。

パート  938万人 フルタイム働けない兼業主婦が増加傾向
アルバイト413万人 定義は副業。24歳以下が51%で学生が多い
契約社員 297万人 有期間で契約を結び従事する常勤労働者
嘱託   114万人 定年後も引き続き会社に所属する人が大半
派遣社員 117万人 人材派遣会社に登録し契約先企業で働く人
その他   91万人

非正規社員のうち、パート・アルバイトは約7割を占めています。
この人たちの多くは家業や学業との兼業副業でフルタイム働くこと
ができない人なので正社員になることを望んでいません。

パート労働者は毎年増加しています。7割が女性であり、その8割
が35歳以上です。女性の社会参画施策で今後も家庭から職場を求め
て増えていくでしょう。強い中年女性の戦力化が重要になります。

契約社員や嘱託は、雇用側との直接契約なので自己責任です。問題
は派遣社員ですが、非正規社員の5.9%に過ぎません。弱者派遣社員
の所得の低さが問題視されていますが、見当外れのようです。

派遣社員の推移を見ると、100万人台で平行を保っています。派遣
ビジネスは頭打ちです。定期昇給やベースアップの魅力がなく主体
派遣会社のコストを差し引けば、報酬は低くなって当然です。

人材難の時代。低賃金と不安定就労に甘んじている派遣社員の人に
言いたい。自律自発の心で企業に乗り込んで欲しい。希望する定職
を獲得するチャンスです。企業も受け入れに策を練って欲しい。

雇用条件の給与は上昇しています。人材採用が国民所得をアップす
る最短最速の近道だと思いませんか。

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2014/11/19

◆ワークモチベーションの低下

大企業は好況でも、中小企業は業績低迷。業務は多忙でも給料据え
置き。円安による物価高が家計を圧迫。結果は仕事への意欲が減退
し、成り行き任せの覇気がない無気力感が蔓延します。

従業員の無気力感が経営管理者まで伝染したら一大事です。しかし
そんな企業の存在が垣間見られます。2:8の法則に従えば、2割
の勝ち組と8割の負け組みに棲み分けされる二極化時代です。

勝ち組の条件は高いワークモチベーションを組織に根付かせること
ですが、一筋縄では行きません。改革の難しさは人心の掌握に懸か
っています。トコトン腹を割って話し合うことが大切です。

ワンマン体質の組織では、従業員の思考力、想像力が驚くほど低下
しています。発言がない、提案がない会議が代表例です。これを変
えるためには、考える場を設けてひたすら聴く耳を養うことです。

収益向上プロジェクトを設置してリーダーを選任し、責任と権限を
与えてください。目的は三方よしの精神で、顧客満足、社員満足、
会社満足の上に成り立つ収益性の向上です。

顧客満足 機能に見合った値頃感、納期、サービスで信頼獲得
社員満足 品質向上、生産性向上への努力目標達成と評価報奨
会社満足 収益性向上による経営資源のV字回復安定

三方よしの前提条件なしではモチベーションは上がりません。社員
だけに一方的に押し付ける会社満足経営計画では、社員のやる気は
引き出せません。三方よしの条件は、数値具体化で理解します。

◆認め、褒め、報奨する達成モチベーション

そもそもモチベーションは長く維持できるものではなく、数日から
数ヶ月の短いスパンの瞬発力です。プロジェクトを任せ切りにせず
報告を聴き、提案を検証して承認し、褒めることです。

はじめは一週間スパンで回すぐらいが適当です。進捗と成果は月次
でチェックします。モチベーションを高める効果的手段は達成感を
与えることです。四半期のスパンで報奨してください。

カイゼン提案制度やアイデア提案制度をプロジェクトで導入する策
もあります。「提案してください」では集まりません。勉強会を開
催して発想法を学習させ、書式で事例を示し、書かせることです。

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2014/11/12

◆変化対応とは

グローバル化による経営環境の変化はすさまじい。アッという間に
取り残されている現状に唖然とします。環境の変化に疎いと、化石
になっていることにも気づかない危険な存在が露呈しています。

20年前には予想もしなかった、途上にあった韓国や台湾の台頭。
発展を傘に自国の利を押し付ける強硬な中国。リーマンショックと
EUパワーの盛衰。東日本大震災。日本電機業界の衰退など等。

環境変化の最たるものはインターネットの普及でしょう。情報化時
代は経営環境を激変させましたが、国民に携帯電話やスマホを浸透
習慣化させた社会文化の構造的変化は驚愕に値します。

時代の寵児ともいえる孫正義さんのソフトバンクは、並み居る重厚
大企業を尻目に破竹の勢いでM&Aを武器に海外進出し、9月決算
では天下のトヨタをはるかに凌ぐ業績ナンバーワンです。

資金力の豊富な大企業と、ヒト、モノ、カネ共にゆとりのない中小
企業では比較になりませんが、時代の変化を読み取ることを忘れる
と、取り残されることになります。外部環境の観察力です。

◆PESTマクロ外部環境

P Politics 政治・政変、法律改正、規制緩和強化などの変化 
E Economy 経済・国内景況、業界好不況、グローバル環境変化
S Society 社会・消費動向、インフラ、ライフスタイル多様性
T Technology 技術・新製品、日進月歩、ライフサイクル

外部環境の変化を読み取ることで、自社の変化対応力が備わってい
きます。適切なベクトルとスピードを測って手を打つ。すべては人
の能力です。カネでもモノでもなく、変化対応力=ヒトです。

◆変化対応組織力の強化

1年経っても何も変わらない会社。業況は減収減益が続く。変化対
応したが失敗する会社。不運にも倒産。変えても変えなくても同じ
と考える会社。経営者のマインドは百人百様で結果もいろいろ。

見ていてハラハラするのが、変えようと思いつつ停滞している会社
です。「早く手を打つべきでしょう」と忠告しても「忙しくて」の
一点張りで動かない。リスクより安定志向が強いようです。

トップを含めて安定志向の強い組織は改革を好みません。変化対応
イコール改革変革です。カネがないとかモノがないの問題ではあり
ません。改革をよしとするヒトのマインドです。

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