山名 |
唐松岳 |
標高 |
2696.4m |
所在地 |
長野県 |
登山日 |
2004年7月18日 |
天気 |
雨の曇り |
メンバー |
低山徘徊4名 |
コースタイム |
03:10 |
黒菱出発 |
04:10 |
八方池山荘 |
05:10 |
八方池/05:40 |
07:10 |
丸山ケルン |
08:20 |
唐松小屋休憩/09:05 |
09:27 |
唐松岳山頂 |
11:50 |
扇雪渓下部昼食/12:30 |
13:45 |
八方池/14:05 |
15:30 |
黒菱 |
帰路、第三ケルンにて。後方は不帰の剣 |
日本海に横たわる梅雨前線の影響で、裏日本の天気は芳しくない。登山予定を一日順延し、前日夕方、麓の咲花山荘に泊まった。ここは会社の社員がスキーシーズンに利用する定宿である。私は初めてだが、愛想のいい若い女主が気に入った。酒代込み、一泊二食で5,500円も魅力だが、夜中に作ってくれたおにぎり弁当の横の書き置きメモに「明日は晴の予定です。気をつけて行ってらっしゃい」。翌早朝2時起きで準備し、車のエンジンをかけて荷物を積み込んでいたら、笑顔で出てきた。彼女は寝ずに私たちの出てくるのを待っていたそうだ。
雨の林道を登り、黒菱に着く。雨は止みそうにないが、好天を願って出発する。スパッツ、雨合羽に傘の完全雨対策で、真っ暗な登山路をヘッドライトを点けて登る。スキーシーズンにはコブだらけの名だたる黒菱の壁を登る。リフトが第1ケルンまで運んでくれるが、朝7時にならないと動かない。歩き始めの急登は辛い。展望のない暗闇なので慰めるものもなく黙々と歩くのみ。昨夜の土砂降りと稲妻は尋常ではなかった。その雨の名残が山道を音を立てて横切る。黒菱平で道に迷い湿原を一週したが、唐松岳方面の道標を見つけて再び登る。ヤマブキショウマがライトに浮かび上がる。シモツケソウやキンコウカもある。身体の内側がびっしょり汗ばんできた。尾根筋に出ると風が強く、傘を取られそうになる。空は白味かけ、所々で山影を見せるようになった。やっと前方に小屋が見えてきた。八方池山荘。文明の利器はここまで人を運んでくれるが、私たちは丁度一時間でここに到着。後で聞いた話だが、唐松小屋もここも満杯だったとのこと。麓でゆっくり眠れたことは幸いだった。
雨は小降りになったが風は強い。突風によろめきながら八方池を目指す。朝日を浴びた白馬三山の逆さ姿を八方池に見る。今回の山行目的を夢見ながら歩く。雨は降ったり止んだり。天気が回復方向に向かっていることは確かだが、山の天気だけは分からない。第2ケルンを過ぎ、単調ななだらかな尾根道をたどると、右手に白馬岳の山肌が現れてきた。栂池の辺りは確認できるが、後は雲の中。砂礫地の突き当たりから八方池が見える。右手から下って回り込み、白馬岳を望める場所で朝食を取ることにした。30分の休憩をとったが白馬岳は中腹以上を堅いベールに包ませて私たちの期待を裏切った。あきらめて第三ケルンに向かうと、雲間から朝日が麓を照らしている。しばし雲の流れの造形にカメラを向け、ここを発つことにした。
しばらく歩くとダケカンバの灌木帯にはいる。林床にはゴゼンタチバナが多い。八方池までのルートとは一変して、いろんな花が顔を出す。まだまだカメラを向けるには条件が悪い。雲は低く、雨交じりの突風も吹く。登りはカメラを封印して、山頂を目指すことにする。丸山ケルンまでの道は遠い。途中、扇雪渓手前で、初めて下山中の登山者に会った。唐松小屋から下山してきたという。昨夜も相当荒れ模様だったようだ。雪田を左に見ながら急登が始まる。このルート中で最もパワーを消耗するところか。丸山ケルンを過ぎて、ハイマツの影で風をしのげる場所を求めて小休止を取る。唐松岳は近い。ここからは勾配は少なく、尾根の左側を巻いていく。チングルマはすでに花弁を落としている。砂礫の斜面にはハクサンイチゲやシナノキンバイが群落を作っている。崩落しそうな岩礫帯を注意しながらトラバースし、鎖場を回り込むと間もなくガスの中に突然唐松山荘が見えてきた。身体が冷え切っているので、小屋で熱いドリンクを所望することにした。ここから山頂は20分。コーヒーを飲みながら状況の変わることを期待したが、ますます風が強くなり、雨が窓を打つ。八方池に続いてここでも見切り発車。展望をあきらめて山頂を踏むことにした。黒部から吹き上げる強風によろめきながら岩稜をたどる。コマクサもガスにかすんでいる。永雨で元気がない。山頂で記念写真を撮り、早々に帰路につく。
登りに要した実歩行時間は約5時間。下山はもっぱら撮影モードに切り替えたため、ほぼ同じ時間を要して登山口に戻った。下山中はほとんど雨に降られなかったので、目的の山野草も撮影できた。
左/八方池山荘付近にて。右/下りてきた黒菱平の平和な姿。
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