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アンゾフとPMマトリクス戦略
アメリカの経営学者アンゾフのマネジメント手法を、長山流に分かりやすくアレンジしたのが下図です。Product(製品)とMarket(市場)でPMマトリクスと名づけました。時間軸で0⇒1⇒2⇒3の順でフレーム戦略が展開できます。
基本的に戦略体系を大別すると、全社戦略、事業戦略、機能別戦略に分けることができます。
基本戦略は「選択と集中」
全社戦略の定石は、選択と集中戦略です。自社の経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報、時間などを優性(強み)と劣性(弱み)に分け、優性を選択して集中させることで競合との差別化、差異化が可能になり、顧客満足度を高めて収益性を高めます。ただし、劣勢を断捨離しない限り数に限りある経営資源を集中させることはできません。捨てる決断が重要です。
経営が多角化されている企業は、部門採算性やカンパニー制を採っていますが、常に将来性を計って競争と撤退を決断します。将来性のない不採算部門に見切りをつけ、採算部門にヒトをシフトさせることも選択と集中戦略です。スピード時代には優柔不断では乗り切れません。
ただし、経営資源の量、質ともに少ない場合は効果がなく失敗する例が多いので注意。
多忙な業務や複雑なプロセス、煩雑な製品群、肥大化した組織、情報の氾濫など整理整頓して集約する必要性を感じている時はやるべきです。
時系列に戦略を充てる
0レベル 収益改善活性化戦略(P=現在・M=現在)は、今すぐ実行する戦略
SWOT分析より即効性のあるABC分析で優性に集中し、顧客、製品、業務を洗い直して活性化を図る。ABC分析は2:8の法則から導かれています。2:6:2の比率で優性、普通、劣勢に分けて下さい。優性2割は80%の効果があります。逆に劣性2割は1%の効果もありません。ここに着目すれば、劣勢は無視できる数値なので、劣性2割に注ぎ込まれている経営資源を優性にシフトし集中させれば、1%どころか、倍以上の効果が見込めます。2割以上の収益性向上は可能な範囲と言えます。劣性をきっぱり捨てて、優性重点主義に徹することです。
1レベル 製品差別化戦略(P=未来・M=現在)は、1年以内に展開する差別化戦略
現代は成熟期から衰退期にあり、競合との競争時代です。製品の差別化、差異化で競争優位に立ち既存市場のシェアアップを図ります。求めるポジションはマイケル・ポーターが提唱したコストリーダーシップです。トヨタのカイゼンは毎年5%、10%の原価率低減を図っています。カイゼン提案制度、アイデア提案制度を導入して、集合知で生産性を高める努力の積み重ねが業務の活性化を促します。カイゼン風土を現場に根付かせることが大切です。
2レベル 新市場開拓戦略(P=現在・M=未来)は、毎年一定割合の投資で攻める新市場開拓戦略
1レベルで製品の差別化を図って顧客価値を高めた後に、新規顧客を開拓する方が効果が望めます。1レベルで既存顧客のシェアアップができるということは、市場拡大の余地があるということです。マーケティングスキルを身に付けて、市場の属性を計って規模をセグメントし、プロモーション活動に予算を投入して攻めの戦略を実行します。中小企業規模では専門部門を設置する余力がないので、プロジェクトを立ち上げて選抜メンバーで戦わせてください。
3レベル ブルーオーシャン戦略(P=未来・M=未来)は中期で練り上げるブルーオーシャン戦略
新たな成長戦略はニッチ市場の掘り起こし。価格決定権を持ち、他の追随を許さないオンリーワンを勝ち取る。根気と執念で開拓にチャレンジします。イノベーションのジレンマは大企業だけの悩みではありません。中小企業にもイノベーションは必然です。インターネット社会はグローバルな世界を小さくしました。どこでも新興企業が勃発し、新たな製品、サービス、アプリが生まれてきます。ブルーオーシャンは1年で崩壊することも考えられます。1年、1年、アイデアをプロジェクトで事業化する試みを忘れないことです。
戦略は定石であり、順序があります。実力があれば飛び級レベルも可能ですが、足元の実力を計って一つずつ確実に実行するべきです。まずは定石を学び真似ることで成果を出してください。初めての戦略活動は、選択と集中戦略、差別化戦略をお試しください。
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