←小蓮華尾根から白馬岳を望む。クリック拡大表示
白馬大池の日の出を拝み、これからは白馬岳の核心地帯を歩くことになる。小蓮華岳、三国境の稜線をたどりながら白馬岳を目指す。それほどキツイ登りもなく、左に白馬三山と鹿島槍に続く後立山連峰を眺め、右に豊富な残雪に輝く雪倉岳、朝日岳を指呼に見る。稜線を埋めるチングルマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなどになぐさめられながら、気持がいい朝の山道を登る。まっこと清々しい雰囲気が充満している。仲間を誘うオフともなると、いつも天気が気掛かりになるが、二日連チャンの幸運に恵まれることは、言い出しっぺ冥利につきる。
展望の小ピークで朝食。 クリック拡大表示→
写真を撮っていると、先行メンバーから声がかかる。朝食タイムを取るようだ。追い付いて仲間に加わる。山荘が用意してくれた弁当に食らいつくが、食欲が進まない。景色をむさぼり食ったせいだろう。シャリバテしないように、消化のいい行動食でカロリー補給する。今回は久しぶりの泊まりの旅。カミさんが用意してくれた食材を入れすぎて、荷物が重い。背筋力の強化には効果がある。肩の痛みを感じながらしんがりを歩く。私たち東海隊は白馬岳をピストンする予定だが、トータルの行程を考えれば、大雪渓を下る方が総エネルギー消耗量は少ない。山慣れないKさんの体調が芳しくないので迷ったが、小蓮華岳で判断することにした。
ヨツバシオガマ、タカネシオガマ、タカネシュロソウなど色の変化も様々に、稜線は花に埋め尽くされている。枯れたウルップソウに落胆していたが、高度を上げるに従い元気な青いウルップソウが背比べをしている。雪倉岳と同じぐらいまで高度を上げた。小蓮華岳は100mほど高いので、ひとふんばりで山頂に立てるだろう。この頃から、下山してくるパーティが多くなる。昨夜、白馬山荘に泊まった人たちだろう。訊ねてみたら昨夜の泊まり客は2000人とのこと。それからは続々と絶え間なく行き交うグループに、挨拶の連発。ふだんの山旅では圧倒的に中高年が多いが、ここはさすがに人気の山域か、若いグループも目につく。思わず挨拶の掛け声も大きくなる。
撮影モードのもぐさん、だめちゃん。右は白馬本峰。
小蓮華岳は50人ほどの団体に占拠されている。西からガスが湧いてきて、白馬方面の視界が薄れていく。Kさんの同意で縦走することに決め、小休止の後、なだらかな稜線をたどる。それほどのアップダウンもなく、暑くもなく寒くもなく快適な稜線が続く。右のハイマツ帯に突然怪しげな二人。ナント我が隊の撮影モード組である。ム、ム、ムシトリスミレ?
早速私も仲間入り。
小蓮華から三国境の稜線→
三国境は富山、新潟、長野の三県を分けている。右に下れば雪倉岳。左に登ると白馬岳。ロープが張られて立入禁止になっているが、北西の急斜面はコマクサの群落地で、岩雪崩の起きそうな砂礫地をピンクの花が埋め尽くしている。ルートはここから南へ向かうが、適当な岩場もあり、変化に富んでいる。東斜面はスッパリ切り落としたように雪渓の谷を覗かせ、西の斜面は緩やかに黒部川へ落ちている。三つの小ピークを登り返すと、見覚えのある白馬山頂が見えてきた。先行隊がはしゃいでいる。午前9時の頂上には、すでに人影はまばらで、我が隊は記念写真を撮るべく構えに入っている。しんがり隊も割り込んで収まることにする。アレッ、水さんがいない。
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